検査関連

論文紹介

原因治療に基づく多職種チームディスカッションは難治性慢性咳嗽の転帰を改善する(Yicong Lu, et al. Respir Investig. 2024)

Multidisciplinary team discussion based on etiological treatment improves refractory chronic cough outcomes. Respir Investig. 2024 Nov;62(6):942-950.引用文献いぶし銀的な論文です。慢性咳嗽に悩む患者さんの中には、どんな治療を試しても改善が見られない「難治性慢性咳嗽(RCC)」に苦しむ方が少なくありません。RCCの原因には、上気道咳嗽症候群、咳喘息、胃食道逆流症、非喘息性好酸球性気管支炎、またはこれらの複合的な要因が挙げられます。これほど多岐にわたる原因が絡み合うため、診断や治療が複雑化しているのが現状です。結論からいうと、この論文では、呼吸器科、耳鼻咽喉科、消化器科など複数の専門医が連携し、多職種合議を行う診療モデルが慢性咳嗽の診療において有用であるということを伝えています。多職種チーム(MDT)による診療は、患者さん一人ひとりの背景に応じた精密な診断と適切な治療を可能にします。このアプローチは、がんや間質性肺疾患(ILD)治療の分野ですで...
0
論文紹介

びまん性肺疾患患者における経気管支肺クライオバイオプシーと経気管支鉗子バイオプシーの安全性の比較:日本全国データベースを用いた観察研究(Awano N, et al. Respir Investig. 2024)

Safety of transbronchial lung cryobiopsy compared to transbronchial forceps biopsy in patients with diffuse lung disease: An observational study using a national database in Japan. Awano N, Jo T, Izumo T, Urushiyama H, Matsui H, Fushimi K, Watanabe H, Yasunaga H. Respir Investig. 2024 Sep;62(5):844-849.引用文献日本赤十字社医療センターからの報告です。この施設からは、実臨床に基づく論文が数多く発表されており、私は常に注目しています。間質性肺疾患(ILD)は、疾患ごとに治療や予後が異なるため、正確な診断が不可欠です。診断のために、肺組織の病理評価が重要視されています。近年、新しい診断技術として注目されている「経気管支肺クライオバイオプシー(TBLC)」は、クライオプローブを用いて組織を凍結・...
0
論文紹介

気管支鏡検査中の咳嗽を軽減するためのスプレーカテーテルを用いた気管内局所麻酔と持続的な口腔吸引の有効性:前向き研究(Tsuchiya K, et al. Respir Investig. 2025)

Effectiveness of intrabronchial local anesthesia with a spray catheter and continuous oral suction in reducing cough during bronchoscopy: A prospective study. Tsuchiya K, et al. Respir Investig. 2025 Jan;63(1):67-73.引用文献気管支鏡検査でいろいろ工夫している、実臨床に使える素晴らしい論文です。気管支鏡検査は呼吸器疾患の診断に欠かせない検査ですが、麻酔や対処、手技に不備があると。その過程で患者さんが咳や不快感を感じることがあります。この咳は、患者さんにとって身体的・精神的な負担になるだけでなく、医師にとっても検査の正確性を損なう原因となります。つまり、咳のせいで、気管支鏡の内腔画像がぶれてしまい、検査非常にやりにくくなります。そのため、咳を効果的に抑える方法を見つけることが、医療現場での大きな課題となっています。最近の研究で注目されているのが「スプレーカテーテル」を使った局所...
0
タイトルとURLをコピーしました