間質性肺疾患

特発性肺線維症における咳の治療としてのモルヒネ(PACIFY COUGH):前向き、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、二方向クロスオーバー試験(Wu Z, et al. Lancet Respir Med. 2024)

Morphine for treatment of cough in idiopathic pulmonary fibrosis (PACIFY COUGH): a prospective, multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, two-way crossover trial. Wu Z, et al. Lancet Respir Med. 2024 Apr;12(4):273-280.引用文献ILD患者さんへの、咳の管理の重要性が高まっています。線維化性のILD患者さんにおける咳嗽が疾患進行や予後不良と関連する可能性については別記事にまとめていますので<こちら>からどうぞ。特発性肺線維症(IPF)の患者さんにとって、咳は生活の質を大きく損なう症状ですが、エビデンスに基づく治療選択肢がほとんどないのが現状です。これまでモルヒネは、主にIPFにおける呼吸困難の緩和に使用されてきましたが、その咳への効果については試験されたことがありませんでした。1しかし、難治性慢性咳を対象とした研究では、低用量の徐放性モルヒネ...
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間質性肺疾患

線維化性間質性肺疾患における咳嗽の疫学と予後的意義(Khor YH, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2024)

Epidemiology and Prognostic Significance of Cough in Fibrotic Interstitial Lung Disease. Khor YH, Johannson KA, Marcoux V, Fisher JH, Assayag D, Manganas H, Khalil N, Kolb M, Ryerson CJ; CARE-PF Investigators. Am J Respir Crit Care Med. 2024 Oct 15;210(8):1035-1044.引用文献ILD患者さんへの、咳の管理の重要性が高まっています。咳嗽は、間質性肺疾患(ILD)患者においてQOLに大きく影響を与える重要な症状の一つです。さらに、特発性肺線維症(IPF)を含む線維化性疾患では、咳嗽や呼吸による肺への機械的な進展刺激が、線維化を進行させる要因となる可能性が指摘されています。咳ってもう何周も回った研究テーマのように思いますが、奥が深いですね。また咳の研究がブームになるかもしれません。いくつかの基礎研究では、肺の伸展刺激が以下のようなメカ...
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論文の書き方

Immortal time bias ってなあに?

臨床研究のデザインにおいて、Immortal time biasは非常に重要な概念です。Immortal time biasは、「不滅の時間」や「不死の時間」バイアスとも呼ばれます。このバイアスがあると、薬の効果が実際よりも良く見えてしまうことがあるんです。この記事では、なるべくわかりやすく説明していきます!ここ数年では、特発性肺線維症(IPF)における抗線維化薬(ピルフェニドンとニンテダニブ)と死亡率に関する後ろ向き研究において、このバイアスが話題に挙がりましたね。<こちら>不死時間とは不死時間とは、ある患者が診断あるいは適格性を満たしてから治療を受けるまでの期間です。IPFを例に挙げると、IPFと診断され、その1年後に抗線維化薬を開始したとすると、この1年間が不死時間です。多くの後ろ向き研究において、この期間中には観察対象のアウトカム(例えば死亡)が発生することはありません。なぜならば、研究デザインの時点で、この期間に観察対象のアウトカムが発生した患者さんは除外されるからです。また、アウトカムが死亡であった場合には、この間は文字通り不死です。つまり、多くの後ろ向き研究では、この期間...
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間質性肺疾患

その②概要の続き<辞書として使って!!>編 アメリカリウマチ学会/アメリカ胸部医師学会による自己免疫性リウマチ疾患に伴う間質性肺疾患の治療ガイドライン(Arthritis Rheumatol. 2024.)

2023 American College of Rheumatology (ACR)/American College of Chest Physicians (CHEST) Guideline for the Treatment of Interstitial Lung Disease in People with Systemic Autoimmune Rheumatic Diseases. Arthritis Rheumatol. 2024. 引用文献はじめに概要については前回の記事で紹介していますのでご参照ください。→<こちら>この記事は日常診療の際に、辞書みたいに使って頂けるとうれしいです。尚、この論文では膠原病ILDをSARD-ILDと表記しています。CTD-ILDと置き換えてもよいでしょう。このガイドラインは、次の3つに焦点を当てています:ILDの第一選択治療治療中でも進行するILD(PF-ILD)への対応急速進行性ILD(RP-ILD)の治療治療法は専門家が複数の選択肢を比較し、「優先されるオプション」と「追加的なオプション」に階層化しています。ただし、どの治療法を使...
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ねこ探し

近所になぞの生き物が出没するというわさがあったため、パトロールに出かけました・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?       (*´Д`)ん???(*´Д`)ねこイター!!(*´Д`)第一部完<スマートフォンをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面左上の「メニュー」からジャンルを選択してお楽しみいただけます。また、画面右下の「サイドバー」を使って、気になる話題を検索することもできますので、ぜひご活用ください。<PCをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面上部のメニューバーや画面右側のサイドバーをご利用いただき、気になる話題をお探しください。
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間質性肺疾患

その①概要編 2023年 アメリカリウマチ学会/アメリカ胸部学会による自己免疫性リウマチ疾患に伴う間質性肺疾患の治療ガイドライン(Arthritis Rheumatol. 2024.)

2023 American College of Rheumatology (ACR)/American College of Chest Physicians (CHEST) Guideline for the Treatment of Interstitial Lung Disease in People with Systemic Autoimmune Rheumatic Diseases. Arthritis Rheumatol. 2024. 引用文献このガイドラインが策定された背景を簡単に説明すると、全身性自己免疫性リウマチ疾患に関連する間質性肺疾患(SARD-ILDまたはCTD-ILD、今回はSARD-ILDで統一)の治療に関しては、特に強皮症を除く多くの疾患でエビデンスレベルが低く、治療選択が手探り状態であったことが大きな課題でした。そのため、呼吸器内科医やリウマチ専門医が、根拠をもって治療方針を立てるための指針が求められていました。今回のガイドラインでは、臨床で直面することの多い治療選択について、一定の方向性を示しており、医療従事者にとっては非常に助けになるものです。た...
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感染症

非重症インフルエンザ治療のための抗ウイルス薬:システマティックレビューおよびネットワークメタアナリシス(Ya Gao, et al. JAMA Intern Med. 2025)

Antiviral Medications for Treatment of Nonsevere Influenza: A Systematic Review and Network Meta-Analysis. Gao Y, et al.JAMA Intern Med. 2025.PMID:39804622引用文献インフルエンザの治療薬っていろいろありますが、日本では患者さんの状態や使いやすさによって薬の選択が分かれることが多いです。例えば、吸入が難しい小さいお子さんやお年寄りには経口薬のタミフル(オセルタミビル)やゾフルーザ(バロキサビル)が使われると思います。一方で、吸入が可能ならイナビル(ラニナミビル)を選ぶことも多いです。重症例や重症化リスクが高い場合には点滴で投与できるラピアクタ(ペラミビル)が頼りになります。ゾフルーザは「ドラクエの呪文っぽい」って発売当初に話題になりましたね!!ちなみにインフルエンザとステロイドに関する内容は別記事でまとめていますのでどうぞ!!<こちら>これまでの知見をざっくりと。1. Peramivir(ラピアクタ)特性: 点滴静注で投与される1回投与...
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感染症

インフルエンザウイルス性肺炎に対するステロイド

重症疾患関連副腎不全(CIRCI)の診断と管理に関するガイドライン(パートII):重症患者におけるSCCMおよびESICM 2017Pastores SM, et al.Guidelines for the Diagnosis and Management of Critical Illness-Related Corticosteroid Insufficiency (CIRCI) in Critically Ill Patients (Part II): Society of Critical Care Medicine (SCCM) and European Society of Intensive Care Medicine (ESICM) 2017. Crit Care Med. 2018.引用文献インフルエンザの入院患者にステロイドを投与すべきか?推奨: インフルエンザに対してステロイドを使用しないことを推奨する(条件付きの推奨、非常に低いエビデンスの質)。根拠: インフルエンザは世界中で毎年数百万人に影響を与え、多くの死者を出しており、その主な原因は制御されない炎症にある...
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肺癌

がん診断後に実施された早期介入型禁煙治療の生存率への影響(Cinciripini PM, et al. JAMA Oncol. 2024)

Survival Outcomes of an Early Intervention Smoking Cessation Treatment After a Cancer Diagnosis. JAMA Oncol.2024 Dec 1;10(12):1689-1696.引用文献がんと診断された患者さんへの禁煙のメリットの論文です。ちなみに、がん全般の話でして・・・、肺がんに特化した論文ではございませんのでご注意を・・・・禁煙が生存率にどう影響するのか?2014年の報告では、「がん診断後も喫煙を続けると、全死亡率が中央値で50%、がん関連死亡率が61%増加する」とされています。1これはかなり大きな数字で、喫煙ががんの予後を著しく悪化させる可能性を示しています。また、喫煙はがん治療そのものの効果も減弱させることがあるため、治療の観点からも喫煙をやめることは重要と考えられております。2 3最近のメタ解析によれば、肺がんや頭頸部がんの患者さんにおいて禁煙が生存率を大きく向上させる可能性が明らかになっています。禁煙することで治療がより効果的に働き、再発や二次がんのリスクも下げられる可能性がある...
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なんか得した気分ですな・・・

出勤したのですが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       なんかふつうに駐車場にねこがいました。どうも首輪をしているようなので、飼いねこのようです。全然逃げず、むしろすり寄ってきました。なんか得した気分です。(*´Д`)<スマートフォンをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面左上の「メニュー」からジャンルを選択してお楽しみいただけます。また、画面右下の「サイドバー」を使って、気になる話題を検索することもできますので、ぜひご活用ください。<PCをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面上部のメニューバーや画面右側のサイドバーをご利用いただき、気になる話題をお探しください。
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ねこ探し

近所になぞの生き物が出没するというわさがあったため、パトロールに出かけました・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?       (*´Д`)ん???(*´Д`)ねこイター!!(*´Д`)第一部完<スマートフォンをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面左上の「メニュー」からジャンルを選択してお楽しみいただけます。また、画面右下の「サイドバー」を使って、気になる話題を検索することもできますので、ぜひご活用ください。<PCをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面上部のメニューバーや画面右側のサイドバーをご利用いただき、気になる話題をお探しください。
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なんか得した気分ですな・・・

出勤したのですが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・       なんかふつうに駐車場にねこがいました。どうも首輪をしているようなので、飼いねこのようです。全然逃げず、むしろすり寄ってきました。なんか得した気分です。(*´Д`)<スマートフォンをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面左上の「メニュー」からジャンルを選択してお楽しみいただけます。また、画面右下の「サイドバー」を使って、気になる話題を検索することもできますので、ぜひご活用ください。<PCをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面上部のメニューバーや画面右側のサイドバーをご利用いただき、気になる話題をお探しください。
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もうしわけございませんでした・・・

きょうも午前中はねこ日和でした。気持ちよさそうに寝ていらっしゃるので、そっと近づいてみようとおもいます。スース―寝息をたてていますね。ふわふわです。いつもと同じ場所、同じシルエットで、デジャブです。!!!どうも起こしてしまったようです。もうしわけございませんでしたぁ~ (*´Д`)<スマートフォンをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面左上の「メニュー」からジャンルを選択してお楽しみいただけます。また、画面右下の「サイドバー」を使って、気になる話題を検索することもできますので、ぜひご活用ください。<PCをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面上部のメニューバーや画面右側のサイドバーをご利用いただき、気になる話題をお探しください。
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今日も、ねこ日和ですな・・・

今日もいつものところで寝ております。ここだけ時間が止まっているようにかんじます。いいなあ・・・それにしても、ねこの手もいいなあ・・・<スマートフォンをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面左上の「メニュー」からジャンルを選択してお楽しみいただけます。また、画面右下の「サイドバー」を使って、気になる話題を検索することもできますので、ぜひご活用ください。<PCをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面上部のメニューバーや画面右側のサイドバーをご利用いただき、気になる話題をお探しください。
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ねこの哀愁

ネコの後ろ姿には哀愁がある。なぜだろう・・・それにしてもまるいなあ<スマートフォンをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面左上の「メニュー」からジャンルを選択してお楽しみいただけます。また、画面右下の「サイドバー」を使って、気になる話題を検索することもできますので、ぜひご活用ください。<PCをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面上部のメニューバーや画面右側のサイドバーをご利用いただき、気になる話題をお探しください。
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ねこはいい・・・

今日も ねこ日和かもしれませんな。いつもと同じポジションだ・・・<スマートフォンをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面左上の「メニュー」からジャンルを選択してお楽しみいただけます。また、画面右下の「サイドバー」を使って、気になる話題を検索することもできますので、ぜひご活用ください。<PCをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面上部のメニューバーや画面右側のサイドバーをご利用いただき、気になる話題をお探しください。
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ゆるネタ

今日は ねこ日和かもしれん

とてもきもちよさそうですな。出勤したくなくなりますが、病院にいかねば・・・
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未分類

今後の投稿予定

そろそろ2024年末ですね。インフルエンザが増えてきて、その二次性肺炎などでの入院患者さんが増 えてきてます・・・さて、サイトが立ち上がってきましたのでちょこちょこと記事を更新していきたいと思います。
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未分類

ブログ開設しました

はじめまして、Lung-Drです。ブログを開設しました。呼吸器領域の情報や論文の解釈・論文執筆に役立つ統計や手法を紹介していきたいと思います!!
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論文の書き方

Immortal time bias ってなあに?

臨床研究のデザインにおいて、Immortal time biasは非常に重要な概念です。Immortal time biasは、「不滅の時間」や「不死の時間」バイアスとも呼ばれます。このバイアスがあると、薬の効果が実際よりも良く見えてしまうことがあるんです。この記事では、なるべくわかりやすく説明していきます!ここ数年では、特発性肺線維症(IPF)における抗線維化薬(ピルフェニドンとニンテダニブ)と死亡率に関する後ろ向き研究において、このバイアスが話題に挙がりましたね。<こちら>不死時間とは不死時間とは、ある患者が診断あるいは適格性を満たしてから治療を受けるまでの期間です。IPFを例に挙げると、IPFと診断され、その1年後に抗線維化薬を開始したとすると、この1年間が不死時間です。多くの後ろ向き研究において、この期間中には観察対象のアウトカム(例えば死亡)が発生することはありません。なぜならば、研究デザインの時点で、この期間に観察対象のアウトカムが発生した患者さんは除外されるからです。また、アウトカムが死亡であった場合には、この間は文字通り不死です。つまり、多くの後ろ向き研究では、この期間...
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間質性肺疾患

有機粉塵への曝露後の過敏性肺炎およびその他の間質性肺疾患のリスク(Iversen IB, et al.Thorax. 2024)

Risk of hypersensitivity pneumonitis and other interstitial lung diseases following organic dust exposure.引用文献有機粉塵は、細菌、真菌、花粉など、微生物、植物、動物由来の粒子で構成されています。1こうした粉塵への曝露は、農業、木材加工、繊維産業といった職場で多く見られるのですが、2 3実は職場以外でも鳥やカビなどを通じて曝露が発生する場合があるそうです。4有機粉塵の中でも、特に注目されるのが「エンドトキシン」です。これはグラム陰性細菌の外膜に存在するリポ多糖であり、吸入により肺内の免疫細胞に作用して炎症を引き起こしうることが知られています。具体的には、エンドトキシンが主に肺のマクロファージや気道上皮細胞にあるToll-like receptor 4(TLR4)に結合し、核内因子であるNF-κBが誘導され、炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6、TNF-αなど)が放出され、それによって肺の炎症や線維化を促しうることが考えられています。農業などの現場ではエンドトキシンの濃度が非常に...
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論文の書き方

Fine-Gray比例ハザード解析(Fine-Gray subdistribution hazard model)ってなあに?

Fine-Grayモデルは、競合リスクを考慮した統計モデルです。Cox比例ハザードモデルと同じく、生存時間分析に用いられますが、競合イベント(例:異なる原因の死亡、治療中止など)が存在する状況で、特定のイベントの発生確率を直接的に評価できる点が特徴です。Fine-GrayモデルとCoxモデルとの違いCoxモデルとFine-Grayモデルは、基本的な考え方や使用するデータ形式が似ています。したがって、大まかな概念は、Coxモデルのページを参照してください<こちら>。ちなみに、両モデルには次のような違いがあります:Coxモデル: 特定のイベントの「ハザード比」を評価する。競合リスクを考慮しない。Fine-Grayモデル: 特定のイベントの「累積発生率」(Cumulative Incidence Function: CIF)を評価する。競合リスクを考慮する。この違いにより、Fine-Grayモデルは競合リスクを含むデータでの解析に適しています。競合リスクについてはこちらのページを参照してください。Fine-Gray解析に必要なデータFine-Grayモデルを適切に解析するには、以下のデータが...
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論文の書き方

Cox比例ハザード解析(Cox Proportional Hazards Model)ってなあに?

Cox比例ハザード解析は、ある出来事(イベント)が発生するまでの時間を、さまざまな要因がどのように影響しているかを調べる統計解析の方法です。呼吸器内科では、例えば患者の死亡や症状悪化といったイベントが研究対象になります。Cox比例ハザード解析の概要何を解析するか?Cox比例ハザードモデルは、どの要因(例:年齢、性別、喫煙歴)が、興味あるイベント(例:死亡、発作)の発生リスクにどのように影響を与えるか?を解析するモデルです。特に、時間に対するリスク(ハザード)の相対的な影響(ハザード比)を評価します。解析に必要なデータ影響を与える要因(共変量)患者の基本情報(例:年齢、性別、病状)を「共変量」として使用します。共変量は、イベント(例:死亡、発作)が発生するリスクにどのように影響を与えるかを解析するための変数です。例:年齢、性別、病気の重症度(FEV1、酸素飽和度)、喫煙歴など。Coxモデルでは、基本的にベースライン共変量(観察開始時点での固定された値)を使用しますが、特定の解析では時間依存性共変量(時間とともに変化する値)を含めることも可能です。後者は上級者向けです。イベントの有無:解析...
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論文の書き方

競合イベント(Competing Events)ってなあに?

競合イベント(Competing Events)は、研究で関心のあるイベントが発生する前に、他のイベント(競合イベント)が発生することで、興味あるイベントが発生不可能になる状況を指します。例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の急性増悪に関心がある場合、患者が急性増悪を経験する前に死亡した場合、その患者では急性増悪の発生を評価できなくなります。これが競合イベントの典型的な例です。なぜ競合イベントを考慮する必要があるのか?競合イベントを考慮しないと、興味あるイベントの発生確率が過大評価される可能性があります。たとえば、死亡を無視した解析では、「全員が生存している」と仮定するため、実際の臨床現場で観察される確率とかけ離れた結果になります。具体例と競合イベントになる理由COPD患者の急性増悪の累積発症率興味あるイベント: 急性増悪の発生競合イベント: 死亡理由: 死亡した患者は急性増悪を経験することができないため、興味あるイベントが発生不可能になる。IPF患者の肺癌発生の累積発症率興味あるイベント: 肺癌の発生競合イベント: 死亡理由: 死亡すると肺癌の発生を確認する機会が失われるため。肺...
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論文の書き方

一般化可能性(Generalizability)と過適合(overfitting)ってなあに?

臨床研究などである疾患におけるリスク因子を同定するとき(例えば、IPFにおける死亡リスク因子)やバイオマーカーやAI、診断モデルの開発では、「開発(探索)コホート」と「検証コホート」を分けて解析を行うことが一般的です。まず、開発コホートでリスク因子の同定やモデル構築を行い、検証コホートでそれが機能するかどうかを確かめます。その目的は、モデルや結果の一般化可能性を確保し、過適合を防ぐことにあります。以下では、これらの概念を解説します。一般化可能性(Generalizability)とは?一般化可能性とは、モデルや研究結果が新しいデータや異なる集団に対しても同じように適用できる能力を指します。つまり、「特定のデータセットや環境だけでなく、他の状況でも有効に機能するか」を評価する概念です。なぜ一般化可能性が重要なんでしょうか?一般化可能性が高い研究やモデルは、リアルワールドのさまざまな状況で有用であり、信頼性の高い結果を提供します。逆に、一般化可能性が低い場合、そのモデルや結論は特定の環境に依存しており、新しいデータでは役に立たない可能性があります。具体例臨床研究例: ある薬の効果を調べる臨...
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論文の書き方

開発コホートと検証コホートってなあに?

臨床研究などである疾患におけるリスク因子を同定するとき(例えば、IPFにおける死亡リスク因子)やバイオマーカーやAI、診断モデルの開発では、「開発(探索)コホート」と「検証コホート」を分けて解析を行うことが一般的です。まず、開発コホートでリスク因子の同定やモデル構築を行い、検証コホートでそれが機能するかどうかを確かめます。その目的は、モデルや結果の一般化可能性を確保し、過適合を防ぐことにあります。以下では、これらの概念を解説しながら、その重要性を順を追って説明します。開発コホートと検証コホートとは?開発コホートリスク因子の同定やモデルの構築、バイオマーカーの選定を行うためのデータセットです。検証コホート同定したリスク因子や開発したモデル、選定したバイオマーカーが別のデータセットでも有効かを確認するために使用されるデータセットです。ちなみに、開発コホート・検証コホートは以下のような表現を使うことがあります。開発コホート(Development Cohort)日本語での言い換え:学習用コホート:モデルを「学習」させるためのデータセットとして強調する場合に使われる。構築用データ:モデルの構築...
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論文の書き方

<その4>Cox比例ハザード解析やロジスティック解析における多変量解析: 多重共線性とはなんぞや

<その3>Cox比例ハザード解析やロジスティック解析における多変量解析では、組み入れることができる変数の数はどれくらい? の続きになります。見ていない方は、こちらへ。多重共線性の重要性多重共線性(Multicollinearity)とは、複数の独立変数が強い相関関係を持つ場合に発生する問題で、回帰分析のようなモデルにおいて以下の影響を及ぼします。独立変数の影響の正確な推定が難しくなる:回帰係数の分散が増加し、信頼区間が広くなる。解析結果の不安定性:サンプルや変数選択によって結果が大きく変わる。予測モデルの解釈性の低下:どの変数が実際にモデルに寄与しているかを判断しにくくなる。簡単にいうと、Coxやロジスティックモデルを用いた多変量解析で、複数の変数を組み入れるとき、相関係数が高い変数同士をモデルに入れると統計がおかしくなる可能性があるということです。多重共線性の確認方法と統計1.相関行列(Correlation Matrix):変数間の単純相関を確認する。相関係数(PearsonまたはSpearman)を計算し、高い値(一般的に0.7以上)が多重共線性の指標となる。2. VIF(Var...
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論文の書き方

<その3>Cox比例ハザード解析やロジスティック解析における多変量解析では、組み入れることができる変数の数はどれくらい?

<その2>Cox比例ハザード解析やロジスティック解析における多変量解析の変数選択はどのように行うべきか? の続きになります。見ていない方は、こちらへ。多変量解析に組み入れることのできる変数の種類はいくつまで?多変量解析において、モデルが過剰適合(overfitting)するのを避けるためには、サンプルサイズと変数数のバランスが重要です。10~20イベント/変数(EPV: Events Per Variable)が一般的な目安です。例えば、100のイベントがある場合、5~10変数が推奨されます。イベント数が少ない場合、モデルの信頼性が低下します。イベントが少ない場合、Lasso回帰や縮小推定などの正則化手法を使用して変数を絞り込むことが推奨されます。具体例を挙げます。IPFの死亡率に関連する解析を行う場合、あなたのデータで30例の死亡があったとしましょう。年齢と性別、FVC、DLCO、喫煙歴、KL-6、体重などの7つのベースライン変数の中から死亡リスク因子となりうる変数を同定する多変量Cox解析を行うとします。死亡イベントが30しかないので、7つのベースライン変数を組み込むことはできませ...
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統計

<その2>Cox比例ハザード解析やロジスティック解析における多変量解析の変数選択はどのように行うべきか?

<その1>Cox比例ハザード解析やロジスティック解析における多変量解析の変数選択はどのように行うべきか? の続きになります。見ていない方は、こちらへ。どうしても変数選択が必要な場合には何を使う?1. 事前知識に基づく変数選択(Clinical Knowledge-Driven Selection)概要医学的な事前知識や先行研究に基づいて、解析に含める変数を選択します。メリット科学的妥当性が高い。過剰適合(overfitting)のリスクが低い。結果の解釈が容易。デメリット知識やエビデンスが乏しい分野では利用が難しい。潜在的な交絡因子を見逃す可能性がある。使い分け臨床研究や治療介入試験で、主要な因子を特定する際に使用。使用例臨床研究: 特定の疾患の主要なリスク因子を調査する研究。治療介入試験: 介入効果に影響を与える可能性のある因子(年齢、性別など)を調整。2. 全変数投入(Enter Method, Forced Entry)概要全ての候補変数をモデルに含め、変数の独立した影響を評価します。メリット変数選択による偏りが生じない。結果が再現性高く解釈が簡単。デメリット過剰適合のリスクがあ...
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間質性肺疾患

特発性肺線維症における咳の治療としてのモルヒネ(PACIFY COUGH):前向き、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、二方向クロスオーバー試験(Wu Z, et al. Lancet Respir Med. 2024)

Morphine for treatment of cough in idiopathic pulmonary fibrosis (PACIFY COUGH): a prospective, multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, two-way crossover trial. Wu Z, et al. Lancet Respir Med. 2024 Apr;12(4):273-280.引用文献ILD患者さんへの、咳の管理の重要性が高まっています。線維化性のILD患者さんにおける咳嗽が疾患進行や予後不良と関連する可能性については別記事にまとめていますので<こちら>からどうぞ。特発性肺線維症(IPF)の患者さんにとって、咳は生活の質を大きく損なう症状ですが、エビデンスに基づく治療選択肢がほとんどないのが現状です。これまでモルヒネは、主にIPFにおける呼吸困難の緩和に使用されてきましたが、その咳への効果については試験されたことがありませんでした。1しかし、難治性慢性咳を対象とした研究では、低用量の徐放性モルヒネ...
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間質性肺疾患

線維化性間質性肺疾患における咳嗽の疫学と予後的意義(Khor YH, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2024)

Epidemiology and Prognostic Significance of Cough in Fibrotic Interstitial Lung Disease. Khor YH, Johannson KA, Marcoux V, Fisher JH, Assayag D, Manganas H, Khalil N, Kolb M, Ryerson CJ; CARE-PF Investigators. Am J Respir Crit Care Med. 2024 Oct 15;210(8):1035-1044.引用文献ILD患者さんへの、咳の管理の重要性が高まっています。咳嗽は、間質性肺疾患(ILD)患者においてQOLに大きく影響を与える重要な症状の一つです。さらに、特発性肺線維症(IPF)を含む線維化性疾患では、咳嗽や呼吸による肺への機械的な進展刺激が、線維化を進行させる要因となる可能性が指摘されています。咳ってもう何周も回った研究テーマのように思いますが、奥が深いですね。また咳の研究がブームになるかもしれません。いくつかの基礎研究では、肺の伸展刺激が以下のようなメカ...
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間質性肺疾患

その②概要の続き<辞書として使って!!>編 アメリカリウマチ学会/アメリカ胸部医師学会による自己免疫性リウマチ疾患に伴う間質性肺疾患の治療ガイドライン(Arthritis Rheumatol. 2024.)

2023 American College of Rheumatology (ACR)/American College of Chest Physicians (CHEST) Guideline for the Treatment of Interstitial Lung Disease in People with Systemic Autoimmune Rheumatic Diseases. Arthritis Rheumatol. 2024. 引用文献はじめに概要については前回の記事で紹介していますのでご参照ください。→<こちら>この記事は日常診療の際に、辞書みたいに使って頂けるとうれしいです。尚、この論文では膠原病ILDをSARD-ILDと表記しています。CTD-ILDと置き換えてもよいでしょう。このガイドラインは、次の3つに焦点を当てています:ILDの第一選択治療治療中でも進行するILD(PF-ILD)への対応急速進行性ILD(RP-ILD)の治療治療法は専門家が複数の選択肢を比較し、「優先されるオプション」と「追加的なオプション」に階層化しています。ただし、どの治療法を使...
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間質性肺疾患

その①概要編 2023年 アメリカリウマチ学会/アメリカ胸部学会による自己免疫性リウマチ疾患に伴う間質性肺疾患の治療ガイドライン(Arthritis Rheumatol. 2024.)

2023 American College of Rheumatology (ACR)/American College of Chest Physicians (CHEST) Guideline for the Treatment of Interstitial Lung Disease in People with Systemic Autoimmune Rheumatic Diseases. Arthritis Rheumatol. 2024. 引用文献このガイドラインが策定された背景を簡単に説明すると、全身性自己免疫性リウマチ疾患に関連する間質性肺疾患(SARD-ILDまたはCTD-ILD、今回はSARD-ILDで統一)の治療に関しては、特に強皮症を除く多くの疾患でエビデンスレベルが低く、治療選択が手探り状態であったことが大きな課題でした。そのため、呼吸器内科医やリウマチ専門医が、根拠をもって治療方針を立てるための指針が求められていました。今回のガイドラインでは、臨床で直面することの多い治療選択について、一定の方向性を示しており、医療従事者にとっては非常に助けになるものです。た...
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感染症

非重症インフルエンザ治療のための抗ウイルス薬:システマティックレビューおよびネットワークメタアナリシス(Ya Gao, et al. JAMA Intern Med. 2025)

Antiviral Medications for Treatment of Nonsevere Influenza: A Systematic Review and Network Meta-Analysis. Gao Y, et al.JAMA Intern Med. 2025.PMID:39804622引用文献インフルエンザの治療薬っていろいろありますが、日本では患者さんの状態や使いやすさによって薬の選択が分かれることが多いです。例えば、吸入が難しい小さいお子さんやお年寄りには経口薬のタミフル(オセルタミビル)やゾフルーザ(バロキサビル)が使われると思います。一方で、吸入が可能ならイナビル(ラニナミビル)を選ぶことも多いです。重症例や重症化リスクが高い場合には点滴で投与できるラピアクタ(ペラミビル)が頼りになります。ゾフルーザは「ドラクエの呪文っぽい」って発売当初に話題になりましたね!!ちなみにインフルエンザとステロイドに関する内容は別記事でまとめていますのでどうぞ!!<こちら>これまでの知見をざっくりと。1. Peramivir(ラピアクタ)特性: 点滴静注で投与される1回投与...
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感染症

インフルエンザウイルス性肺炎に対するステロイド

重症疾患関連副腎不全(CIRCI)の診断と管理に関するガイドライン(パートII):重症患者におけるSCCMおよびESICM 2017Pastores SM, et al.Guidelines for the Diagnosis and Management of Critical Illness-Related Corticosteroid Insufficiency (CIRCI) in Critically Ill Patients (Part II): Society of Critical Care Medicine (SCCM) and European Society of Intensive Care Medicine (ESICM) 2017. Crit Care Med. 2018.引用文献インフルエンザの入院患者にステロイドを投与すべきか?推奨: インフルエンザに対してステロイドを使用しないことを推奨する(条件付きの推奨、非常に低いエビデンスの質)。根拠: インフルエンザは世界中で毎年数百万人に影響を与え、多くの死者を出しており、その主な原因は制御されない炎症にある...
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肺癌

がん診断後に実施された早期介入型禁煙治療の生存率への影響(Cinciripini PM, et al. JAMA Oncol. 2024)

Survival Outcomes of an Early Intervention Smoking Cessation Treatment After a Cancer Diagnosis. JAMA Oncol.2024 Dec 1;10(12):1689-1696.引用文献がんと診断された患者さんへの禁煙のメリットの論文です。ちなみに、がん全般の話でして・・・、肺がんに特化した論文ではございませんのでご注意を・・・・禁煙が生存率にどう影響するのか?2014年の報告では、「がん診断後も喫煙を続けると、全死亡率が中央値で50%、がん関連死亡率が61%増加する」とされています。1これはかなり大きな数字で、喫煙ががんの予後を著しく悪化させる可能性を示しています。また、喫煙はがん治療そのものの効果も減弱させることがあるため、治療の観点からも喫煙をやめることは重要と考えられております。2 3最近のメタ解析によれば、肺がんや頭頸部がんの患者さんにおいて禁煙が生存率を大きく向上させる可能性が明らかになっています。禁煙することで治療がより効果的に働き、再発や二次がんのリスクも下げられる可能性がある...
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感染症

その④ 肺炎編 2024 Focused Update:敗血症、ARDS、市中肺炎におけるコルチコステロイド使用ガイドライン(Chaudhuri D, et al. Crit Care Med. 2024.)

2024 Focused Update: Guidelines on Use of Corticosteroids in Sepsis, Acute Respiratory Distress Syndrome, and Community-Acquired Pneumonia.引用文献肺炎に対するステロイド治療の知識:呼吸器内科医が押さえるべきポイント市中肺炎(CAP)は、呼吸器内科医が日常的に扱う疾患の中でも特に頻度が高く、重症化すると人工呼吸器やICU管理を必要とするケースもあります。2024年版の最新ガイドライン全体の概要については別の記事でまとめていますので、<そちら>をご覧いただければ全体像が掴みやすくなると思います。今回の記事では、その中でも特に市中肺炎に対するステロイド治療の詳細と、臨床現場での活用方法に焦点を当てて勉強していきます。今回のガイドラインでは、重症CAPと軽症CAPで分けた推奨が示されています。重症かそうでないかの判断が、ステロイド使用を考慮するうえで重要になっています。重要肺炎の定義出典定義アメリカ胸部学会/感染症学会 2007 1以下のいずれかを満たす場...
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ARDS

その③ ARDS編 2024 Focused Update:敗血症、ARDS、市中肺炎におけるコルチコステロイド使用ガイドライン(Chaudhuri D, et al. Crit Care Med. 2024.)

2024 Focused Update: Guidelines on Use of Corticosteroids in Sepsis, Acute Respiratory Distress Syndrome, and Community-Acquired Pneumonia.引用文献ARDSに対するステロイド治療の知識:呼吸器内科医が押さえるべきポイントARDS(急性呼吸窮迫症候群)は、呼吸器内科医が遭遇する重篤な症候群の一つです。本記事では、2024年版のガイドラインに基づき、ARDSに対するステロイド治療の有効性とリスクについて勉強してみました。このガイドライン全体の概要については別の記事でまとめていますので、<そちら>をご覧いただければ全体像が掴みやすくなると思います。まずARDSについて簡単におさらいですが、よくご存じであればARDSに対するステロイド治療の項目まで飛ばしてください。ARDSとは?何らかの原因によって引き起こされた二次性の病態であり、急性の両側肺の浸潤影を特徴とし、しばしば重篤で予後不良な症候群です。2012年に策定された「ベルリン定義」1 2 を基盤に、20...
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感染症

その②敗血症編 2024 Focused Update:敗血症、ARDS、市中肺炎におけるコルチコステロイド使用ガイドライン(Chaudhuri D, et al. Crit Care Med. 2024.)

2024 Focused Update: Guidelines on Use of Corticosteroids in Sepsis, Acute Respiratory Distress Syndrome, and Community-Acquired Pneumonia.引用文献敗血症に対するステロイド治療の知識:呼吸器内科医が押さえるべきポイント敗血症や敗血症性ショックに対するステロイド治療について、最新のガイドラインを紹介するシリーズ記事の一環としてお届けします。まず、このガイドライン全体の概要については、別の記事で詳しくまとめていますので、まずはそちらをご覧ください。<その①概要編 2024 Focused Update:敗血症、ARDS、市中肺炎におけるコルチコステロイド使用ガイドライン>今回の記事では、特に敗血症におけるステロイドの適応や効果について掘り下げて勉強してみました。呼吸器内科医として、このテーマを理解することは非常に重要です。敗血症は、重症肺炎などの呼吸器感染症によって引き起こされることも多く、敗血症性ショックはしばしば多臓器不全を引き起こし、患者の生命に直...
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