肺高血圧

論文紹介

COPDに関連した肺高血圧症における吸入トレプロスチニル:PERFECT試験(Nathan SD, et al. Eur Respir J. 2024.)

COPDに対する吸入トレプロスチニルの試験です。Inhaled treprostinil in pulmonary hypertension associated with COPD: PERFECT study results引用文献COPD患者において、肺高血圧(PH)の合併は予後不良と関連しています。1 2COPD患者を対象としたPH治療に関するRCTは少なく、小規模研究では、シルデナフィルが肺血管抵抗を低下させてQOLを改善させる可能性を示していますが3 4、タダラフィルの研究では否定的な結果が報告されています。5 COPD-PHの生存率を改善する治療も確立していません。トレプロストニルは、プロスタサイクリンの安定した類似体であり、肺および全身動脈血管床の直接的な血管拡張を促進し、血小板凝集を抑制します。6吸入型トレプロストは、本邦ではPHやILD-PHの治療薬として承認されています(ただし、WHOの1群での有効性・安全性は確立していないとされています。)INCREASE試験については別の記事で取り上げていますが、ILD+PH患者を対象に吸入型トレプロストの安全性および有効性を...
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間質性肺疾患

間質性肺疾患に伴う肺高血圧症に対する吸入トレプロスチニルの長期使用:INCREASEオープンラベル延長試験(Waxman A, et al. Eur Respir J. 2023.)

Increase試験は16週の短期的な試験でしたが、その長期試験の結果も気になりましたので勉強してみました。Long-term inhaled treprostinil for pulmonary hypertension due to interstitial lung disease: INCREASE open-label extension study.引用文献INCREASE試験については別の記事で取り上げていますが、ILD+PH患者を対象に吸入型トレプロストの安全性および有効性を評価したランダム化臨床試験です。1 この試験では、吸入型トレプロストの16週目における6分間歩行距離の改善という主要評価項目を達成しました。注目すべきことに、この試験ではいくつかの副次評価項目も達成されています。以前の記事で取り上げたように、吸入トレプロストニルのFVC改善効果 や 臨床的悪化イベント減少とも関連する可能性が報告されています。トレプロストニルは、プロスタサイクリンの安定した類似体であり、肺および全身動脈血管床の直接的な血管拡張を促進し、血小板凝集を抑制します。2吸入型トレプロストは、...
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肺高血圧

INCREASE試験における肺疾患に起因する肺高血圧症患者に対する吸入トレプロスチニルの複数疾患進行イベントに及ぼす有効性(Nathan SD, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2022.)

引き続きIncrease試験の二次解析の論文がありました。少し古いですが、重要な論文だと思います。Efficacy of Inhaled Treprostinil on Multiple Disease Progression Events in Patients with Pulmonary Hypertension due to Parenchymal Lung Disease in the INCREASE Trial引用文献INCREASE試験については別の記事で取り上げていますが、ILD+PH患者を対象に吸入トレプロスチニルの安全性および有効性を評価したランダム化臨床試験です。1 この試験では、吸入トレプロスチニルの16週目における6分間歩行距離の改善という主要評価項目を達成しました。注目すべきことに、この試験ではいくつかの副次評価項目も達成されています。以前の記事<こちら>で取り上げたような吸入トレプロストニルのFVC改善効果だけでなく、臨床的悪化イベント減少とも関連したという結果もあるようです。INCREASE試験での臨床的悪化は、以下のいずれかが初めて発生するまでの時間...
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肺高血圧

間質性肺疾患に関連した肺高血圧症を有する患者における吸入トレプロスチニルと努力性肺活量: INCREASE試験のpost-hoc解析(Nathan SD, et al. Lancet Respir Med. 2021)

Increase試験を勉強したので二次解析の論文もピックアップしてみました。Inhaled treprostinil and forced vital capacity in patients with interstitial lung disease and associated pulmonary hypertension: a post-hoc analysis of the INCREASE study.引用文献INCREASE試験については別の記事で取り上げていますが、ILD+PH患者を対象に吸入トレプロスチニルの安全性および有効性を評価したランダム化臨床試験です。1 この試験では、吸入トレプロスチニルの16週目における6分間歩行距離の改善という主要評価項目を達成しました。もともとその試験では、吸入トレプロスチニルが既存ILD患者の呼吸機能に悪影響を及ぼさないかどうか安全性評価の観点で肺機能検査が行われています。しかし、予想外の結果として、吸入トレプロスチニルが16週間にわたる治療期間中に努力性肺活量(FVC)の改善と関連していることを示しました。トレプロストニルは、プロス...
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間質性肺疾患

間質性肺疾患による肺高血圧症に対する吸入トレプロスチニル ~INCREASE試験~(Waxman A, et al. N Engl J Med. 2021)

すこし古いのですが、気になったのでピックアップしてみました。Inhaled Treprostinil in Pulmonary Hypertension Due to Interstitial Lung Disease.引用文献トレプロスチニル(Treprostinil)の登場以前、特発性肺線維症(IPF)や間質性肺疾患(ILD)に合併した3群肺高血圧症(PH)に関しては、酸素療法やリハビリテーションが中心であり、特定の薬剤による治療は限定的だったと思います。トレプロスチニルは、プロスタサイクリンの安定した類似体であり、肺および全身動脈血管床の直接的な血管拡張を促進し、血小板凝集を抑制します。1 また、吸入型トレプロストは、第1群肺高血圧症の患者において12週間の治療後に運動能力を改善することが示されています。2 これまでに行われたパイロット研究のデータによれば、吸入トレプロスチニルは第3群肺高血圧症の患者において血行動態および機能的能力を改善する可能性が示唆されています⁹⁻¹²。3 4 5投与経路として、吸入、経皮、静脈注射、経口などがあり、トレプロスト®吸入液は、肺動脈性肺高血圧症...
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