2025-02

間質性肺疾患

ILD合併の非扁平上皮非小細胞肺がんにおいて、PD-1阻害剤の治療効果を予測する指標として、TTF-1発現は有用か?

Ito M,et al. A strong association between TTF-1 expression and interstitial lung disease in predicting the efficacy of PD-1 inhibitor for nonsquamous NSCLC patients. ERJ Open Res. 2025.東京科学大学(旧・東京医科歯科大学)の呼吸器内科からの報告です。とても興味深いですね~こういう論文大好きです。引用文献まず最初にまとめからいうと以下のとおりです。「ILDを伴うNS-NSCLCでは、TTF-1陰性の患者はPD-1阻害剤の効果が低く、生存期間も短い」ILDを伴うNS-NSCLC患者では、TTF-1陰性群でPD-1iの効果が低く、生存期間が短かった(PFS 2.0か月 vs. 12.1か月, OS 14.5か月 vs. 42.5か月)。しかし、ILDを伴わない患者では、TTF-1の有無によるPD-1iの治療成績に有意な差はなかった。TTF-1陽性患者では、CD8陽性T細胞の浸潤が多く、免疫応答が活発である可能性...
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学び系

【研修医・医療職一般・患者さん向け】パルスオキシメーターでSpO₂が低く出る原因

今日は、臨床でよく使う パルスオキシメーター(SpO₂測定) についてお話しします。患者さんに 重症感がないのにSpO₂が低く表示される ことがあり、「あれ?低酸素かも!?」と焦ることがありますよね。しかし、実は 測定誤差 が原因のことも少なくありません。今回の内容は、特に 看護師さんや研修医の皆さんにおすすめ ですが、これから医療職を目指す学生さんや 患者さん自身にとっても重要な情報 です。ぜひ、臨床の場で役立ててください!まず、パルスオキシメータって何のために使うの?✅ 動脈血の酸素飽和度(SpO₂)を測定する!✅ 低酸素(hypoxia)の早期発見に役立つ!✅ 呼吸状態のモニタリングに必須!📌 具体的な使用シーン低酸素血症のスクリーニング呼吸困難、肺炎、心不全、ショックなどでSpO₂が低下(例:SpO₂ < 90%) していないかチェック!酸素療法の効果判定酸素投与(O₂ 2L, 5Lなど)の前後でSpO₂が改善するか確認!SpO₂ 92-96%を目標に調整する(COPDでは88-92%)。周術期・鎮静時のモニタリング麻酔や鎮静下で低酸素になっていないかをリアルタイムで確認。手術...
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学び系

間質性肺疾患(ILD)の診断の流れ

Idiopathic Pulmonary Fibrosis (an Update) and Progressive Pulmonary Fibrosis in Adults: An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2022 May 1;205(9):e18-e47.引用文献間質性肺疾患(ILD)の診断、どこから始める?✅ まず最初に!☑️ 「急性の呼吸不全」や「急速な悪化」がないかをチェック!→ ある場合は迅速な検査&治療が必須!✅ 原因検索!☑️ 二次性?特発性?二次性なら基礎疾患の治療を優先、特発性なら詳細分類へ。✅ HRCTでUIPパターンを評価!☑️ UIP=IPFではない! 他疾患の可能性も慎重に考慮。☑️ UIPやProbable UIP以外なら クライオバイオプシーや外科的肺生検 も選択肢!→ ただし、患者の耐術能を慎重に評価 することが重要。✅ 診断が難しいときは?☑️ MDD(多専門家会議)を活用!複数の専門家で診断精度をUPし、不要な侵...
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新入部員

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おはようございます。昨日お休みだったので、近所を散歩してみました。前回謎の生き物が出現した場所におそるおそる行ってみました。<前回の探検はこちら>いた!!!以前いなかった新入部員です。なんか・・・いなりずし状態ですね。完<スマートフォンをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面左上の「メニュー」からジャンルを選択してお楽しみいただけます。また、画面右下の「サイドバー」を使って、気になる話題を検索することもできますので、ぜひご活用ください。<PCをご利用の皆さまへ>他の記事をご覧になりたい場合は、画面上部のメニューバーや画面右側のサイドバーをご利用いただき、気になる話題をお探しください。
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論文の書き方

論文のIntroductionはどのように書いたらよい?

「論文のテーマは決まって結果もでた。でもIntroductionをどう書き始めればいいかわからない…」そんな方へ。論文のIntroductionは、単なる背景説明ではなく、論文全体の「伏線」 となる重要なパートです。ここで読者を惹きつけ、スムーズに論文の流れへと導くことが求められます。では、どのように書けばよいのでしょうか?ポイントは イントロ内で起承転結 を意識することです。起:背景(対象疾患など)を簡潔に説明する承:研究のテーマに関連する要素(注目しているイベント、リスク因子、バイオマーカーなど)を導入する転:現時点での課題やギャップを明確にする結:本研究の目的を提示する※ 上級者は“承”と“転”の構成を柔軟に調整してもOK。承で起の補足を行い、転で「テーマに関連する要素」の説明と問題提起を一気に展開する方法もあります。ただし、“起”と“結”は基本的にこの流れを意識して書く と、Introduction全体のバランスが整いやすくなります。これは私の考えであり、他にもさまざまな書き方があると思いますが、論文執筆のヒントとして参考にしていただけると幸いです!論文のIntroductio...
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学び系

胸部HRCTパターンと病理学的なUIPとの関連性

Idiopathic Pulmonary Fibrosis (an Update) and Progressive Pulmonary Fibrosis in Adults: An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2022 May 1;205(9):e18-e47.引用文献UIP(usual interstitial pneumonia)の放射線学的特徴を解説します!今回は、特発性肺線維症(IPF)の診断に欠かせない高分解能CT(HRCT:high-resolution computed tomography)について解説します。特に、UIPパターンの放射線学的特徴について詳しくお話しします。HRCTで診るUIPの特徴的な所見HRCTを読影するときに、UIPパターンを見つけるポイントは主に以下の2つです。traction bronchiectasis/bronchiolectasis(牽引性気管支拡張/細気管支拡張)honeycombing(蜂巣肺)これら...
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学び系

重篤な疾患での入院患者さんにおける退院支援における多職種連携の重要性

はじめに重篤な病気で入院すると、体力の低下、金銭的負担、家庭環境の変化 など、多くの課題が生じます。そのため、病状が改善したからといって必ずしも自宅退院が容易にできるわけではありません。特に呼吸器疾患の患者では、以下のような病態が問題となり、退院後の生活に大きな影響を与えます。呼吸器疾患治療後の主な課題課題詳細呼吸機能の低下重症肺炎、間質性肺炎、COPD などによる呼吸機能の低下。在宅酸素療法やNPPVが必要になるケースも多い。間質性肺疾患の治療合併症ステロイド治療による筋力低下、糖尿病、易感染性。特に急性増悪や膠原病肺、過敏性肺臓炎の患者で顕著。薬剤性肺傷害ステロイド治療の副作用や、背景となった基礎疾患の治療の遅延により、治療が難航する可能性がある。肺がん治療の副作用化学療法による副作用、進行に伴う悪液質(体重減少・全身衰弱)などが退院後の生活に影響を及ぼす。退院後の環境整備の困難さ体力低下によりADL(日常生活動作)が困難となり、介護の必要性が増す。医療・介護費の負担や住宅改修の必要性も課題。多職種連携の重要性と相互補完の必要性患者の退院後の生活を支えるためには、医療・介護・福祉の...
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診療科No.2のせつなさをまとめました。~仕事の流れ その3~

医局No.2のせつなさをまとめました。 医局での仕事の流れ その3です。 <注>氷河期世代、中堅、ロスジェネ世代の切なさを描いた読み物です。医局No.2の先生は、上司からの期待、自身のDuty、そして後輩医師の指導の中で、日々奮闘しています。その胸には、「医局を発展させたい」「自分も確かな実績を積み、さらなる高みを目指したい」そして「後輩医師の成長を支えたい」という熱い想いがあり、後輩たちを気にかけ、時にはじっくりと数時間語り合うのです。そんなNo.2の先生が、今日も診療科長から仰せつかった新プロジェクトについて、後輩たちの意見を聞きながら一緒に進めていこうと、意気揚々と医局へ向かいました。しかし——。そこにはもう、誰もいなかった...異様な静けさが支配する部屋。人の気配はどこにもない——。No.2先生「これが....働き方改革というものか!?」……いや、それとも……No.2の先生の話が長すぎるせいなのか——?果たして真相は!? <つづく>今後シリーズ化していくと思うので、もしよろしければ「いいね」や「ブックマーク」をして頂けるとありがたいです。<スマートフォンをご利用の皆さまへ>他の...
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診療科No.2のせつなさをまとめました。~仕事の流れ その2~

医局No.2のせつなさをまとめました。 医局での仕事の流れ その2です。 友人の医師から聞いた話ですが、真実でないことをしんじたいです。働き方改革――その影響で、仕事の振り分けに強気になれません。これも時代の流れなのか・・・そして、No.2先生の今後はどうなるのか? この流れは変わるのか?<つづく>今後シリーズ化していくと思うので、もしよろしければ「いいね」や「ブックマーク」をして頂けるとありがたいです。<スマートフォンをご利用の皆さまへ>他のまじめな記事をご覧になりたい場合は、画面左上の「メニュー」からジャンルを選択してお楽しみいただけます。また、画面右下の「サイドバー」を使って、気になる話題を検索することもできますので、ぜひご活用ください。<PCをご利用の皆さまへ>他のまじめな記事をご覧になりたい場合は、画面上部のメニューバーや画面右側のサイドバーをご利用いただき、気になる話題をお探しください。
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間質性肺疾患

ベーリンガー・インゲルハイム社のネランドミラストが、IPFに引き続き、PF-ILDでも第三相試験でFVC低下を抑制したそうです。

ベーリンガーインゲルハイムのネランドミラスト、進行性肺線維症(PPF)/進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)を対象とする第3相FIBRONEER™-ILD試験において主要評価項目を達成和訳リリース, 2025年02月17日引用文献1引用文献2引用文献3ネランドミラスト、第3相FIBRONEER™試験で主要評価項目を達成!2025年2月17日、ベーリンガーインゲルハイムは、開発中の新薬ネランドミラスト(一般名:nerandomilast、開発コード:BI 1015550)が、肺線維症を対象とした第3相臨床試験FIBRONEER™-ILD試験において主要評価項目を達成したと発表しました。本試験は、進行性肺線維症(PPF)および進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)の患者さんを対象とし、治療薬としての有効性と安全性を検証するものです。IPFやPPF、PF-ILDは、肺の線維化が進行し、呼吸機能が低下していく疾患群です。PF-ILDやPPFは独立した疾患ではなく、主にIPF以外の間質性肺疾患において線維化が進行する病態の包括的概念といえます。現在、抗線維化薬としてピルフェニド...
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