Validation of a computed tomography diagnostic model for differentiating fibrotic hypersensitivity pneumonitis from idiopathic pulmonary fibrosis
- 過敏性肺炎(HP)には、線維化の有無に応じて非線維化(non-fibrotic)型と線維化(fibrotic)型の2つの表現型に分類されます。
- ガイドラインでは、「typical HP(典型的)」、「compatible with HP(HPに合致する)」、および「indeterminate for HP(HPかどうか微妙)」のような高分解能CT(HRCT)パターンが示されています。
- HPに特徴的な所見の分布として、【ランダムな分布】【中肺野優位】【下肺野が比較的スペアされる分布】があります。
- fibrotic HPに見られる所見として、小気道の異常、例えば不明瞭な中心小葉性結節、mosaic attenuation、three-density pattern、エアトラッピングなどが挙げられます。
簡単に言いますけど、これらのfHPの所見は一部のIPF患者さんにも見られるもんですから、画像でIPFとfHPを鑑別するのって難しいことがありますよね・・・。
実際に、IPF患者さんの中にはその後fHPと診断される方もいますし・・・。
びまん性肺疾患の読影で超有名なSumikawa先生やEgashira先生らの論文を見てみましょう!!
研究の背景
線維性過敏性肺炎(fHP)と他の間質性肺疾患、特に特発性肺線維症(IPF)との鑑別診断は困難な場合が多い。
目的
本研究では、fHPとIPFの鑑別に有用なCT所見を検討し、画像診断モデルを作成してその妥当性を検証した。
方法
- 2施設の患者246名(fHP患者104名、IPF患者142名)を組み入れ、探索グループ(164名)と検証グループ(82名)に2:1の比率でランダムに割り付けた。
- 放射線科医3名が肺線維化、末梢気道病変、優勢な分布などのCT所見を評価し、二項ロジスティック回帰分析と多変量分析を行ってfHPとIPFの間で比較した。
- 探索グループで予後予測モデルを作成し、検証グループでその妥当性を検証した。
主な結果
- 牽引性気管支拡張(TB)を伴うすりガラス陰影(GGO)、蜂巣肺、低吸収領域(Hypo-attenuation area)、three-density patten(超有名なパターンですよ)、頭尾方向のびまん性分布、上肺の気管支血管束周囲の陰影、ランダムな分布がIPFと比べfHPでよく認められた。
- 多変量解析では、TBを伴うGGO、上肺の気管支血管束周囲の陰影、ランダムな分布が有意な特徴であった。
- 上記の3つのCT所見を用いたfHPの診断モデルの曲線下面積は、探索グループでは0.733(95%CI;0.655-0.811、p<0.001)、検証グループでは0.630(95%CI;0.504-0.755、p<0.047)であった。
結論
fHPとIPFの鑑別に重要なCT所見は、TBを伴うGGO、上肺の気管支血管束周囲の陰影、ランダムな分布であった
- TBを伴うGGO、上肺の気管支血管束周囲の陰影、ランダムな分布が重要なんですね。
- three-density pattenは、単変量解析では残っていましたが、この研究では多変量解析に組み入れられていません。本研究では多変量モデルへの組み入れはステップワイズ法を用いていました。three-density patternは、GGO、低吸収域、正常肺の組み合わせを指します。
ステップワイズ法では、各変数がモデルに追加される際の統計的有意性(p値)が重要な基準となります。他の変数が既にモデルに含まれている場合、新しい変数の追加が統計的に有意とならなければ除外されます。three-density patternがGGOや他の重要な特徴(peribronchovascular opacitiesやrandom distribution)と競合したため、p値が基準を満たさなかった可能性があります。 - 用いた統計手法の影響でthree-density pattenが選択されていないように思います。個人的にはやはりthree-density pattenはIPFとの区別に重要だと思っております。
ステップワイズ法は、統計モデルにおいて、変数を逐次的に追加または削除することで、最適なモデルを構築する手法です。この方法では、モデルに含まれる変数が他の変数との関連性や冗長性の影響を受けやすいです。