今回は、学生さんや研修医、新人看護師さんなど、医療現場に出たばかりの若手の皆さんに向けたお話です。
突然ですが、「救急のときのこんな医療者はいやだ」というABCの教訓をご存じでしょうか?
これは、私が研修医の頃、救急当直のときに上級医(見た目はまるで西川きよし師匠!)から教わった、忘れられない教訓です。
冗談めかしつつも、実はとても本質的なメッセージが込められています。

救急時にNGな医療者「ABCDEF」
A:Away from the patient
→「患者さんから離れろ!」
怖気づいて現場から離れてしまう医療者。
B:Behind the nurse
→「看護師さんの後ろに隠れろ!」
責任を回避し、現場を看護師さんに丸投げ。
C:Call another doctor
→「別の医師を呼べ!」
自分で判断せず、すぐ他人に任せるスタイル。
D:Dash to the toilet
→「トイレにダッシュしろ!」
極度の緊張で、物理的に現場から逃げ出す行動。
E:Escape
→「とにかく逃げろ!」
精神的にも物理的にも“現場から消える”。
F:Fade out
→「いつの間にかいない」
最初はそこにいたのに、気づけば姿が見えない…。
まるで忍者のように存在感を消す人、いませんか?
(…指導医にも、たまにいますよね。)
さらに存在する「派生バージョン」
病院や地域によっては、この「ABC」には独自のアレンジが加えられている場合もあります。
- A:Avoid the case(難しい症例を避けろ)
- D:Deny the responsibility(責任を否定しろ)
- E:Erase the presence(存在を消せ)
どれも「関わらずに済ませたい」という、逃げ腰なスタンスを皮肉っています。
若手医療者へのエール
救急や急変対応は、ベテランだって緊張するもの。若手の皆さんが「怖い」「どうすればいいかわからない」と感じるのは、ごく自然なことです。
でも、そこで「逃げない」こと。
それこそが、成長への第一歩です。
完璧じゃなくてもいい。
それより大切なのは、患者さんのそばにいようとする気持ち、
仲間と一緒に乗り越えようとする姿勢です。
この「ABCDEF」は、反面教師。
だからこそ、みなさんが「こんな医療者にはならない」と心に留めて、
勇気を持って一歩踏み出せますように。


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