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深掘りいろいろ解説

🫁 呼吸器内科TIPS|特発性間質性肺炎の診断と助成認定──見落とされがちな6分間歩行試験の意義

いまさらですが、2024年4月に、厚生労働省による指定難病「特発性間質性肺炎」の認定基準が大幅に改訂されています。

従来、IPF(特発性肺線維症)を除いては、原則として外科的肺生検などによる組織所見が必須とされていました。

改訂後は、臨床診断群の位置づけが明確化され、組織診断がなくても、IPFに加えてPPFEも臨床診断および申請が可能となりました。

さらに重要な点として、その他の組織診断を伴わない症例であっても、原因が不明で臨床的な基準を満たせば、「分類不能型」として臨床診断・申請が可能となっています。

この改訂により、特発性間質性肺炎の診断・認定の「入口」が広がっただけでなく、医療費助成の「対象者」も増える可能性が出てきました。

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軽症に見えても助成対象に?カギを握る「6分間歩行試験」

診断基準の改訂で特に注目すべき点は、Ⅲ度以上」の重症度の判定において、6分間歩行試験(6MWT)が重要な役割を果たすようになったことです。

具体的には、
👉 6分間歩行中にSpO₂が90%未満に低下した場合、
これまで「軽症(Ⅰ・Ⅱ度)」とされていた患者さんでも、「Ⅲ度以上」に判定され、通常の医療費助成の対象になります。

つまり、安静時の酸素飽和度や肺機能が比較的保たれていても、運動時に酸素化が低下するケースでは、「見た目以上に重症」と評価されるわけです。

なお、重症度がⅠ・Ⅱ度であっても、一定の条件を満たす場合には「軽症高額」制度が適用され、医療費助成を受けられる可能性があります。

この制度の適用には、自治体による判断や申請手続きが必要となるため、詳しくはお住まいの地域の窓口や担当医にご確認ください。


実は予後にも関わる指標

6MWT中の酸素低下は、単なる助成の指標だけでなく、予後不良のサインとも言われています。
SpO₂ 90%未満となる患者さんでは、早期の抗線維化薬の導入や在宅酸素療法を検討すべきケースもあります。


医師も患者さんも「6MWT」の価値を再認識すべき

診察や経過観察の中で、安静時の数値だけではなく6MWTの実施・記録をルーチン化することは、診断や治療方針の精度を高めるだけでなく、患者さんの生活の質(QOL)や制度上の支援にもつながります。

患者さんご自身が「体力が落ちてきた」「歩くと息苦しい」と感じるようであれば、医師へ6分間歩行試験の実施を相談してみましょう。

この検査を通じて運動耐容能を客観的に評価することで、治療の見直しや強化、在宅酸素療法の導入、呼吸リハビリテーションなど、より包括的な治療プログラムの検討につながります。


🔗 詳細は、指定難病の最新情報をご確認ください(厚生労働省 難病情報センター)
👉 https://www.nanbyou.or.jp/entry/302


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