🫁RSウイルス(RSV)は、小児だけでなく高齢者や基礎疾患を持つ成人にとっても重要な呼吸器病原体です。
💥特に注意すべきは、生後6か月未満の乳児。重症化や入院、命に関わるリスクも。
⚡️RSVは子どもと大人の間で相互に感染を繰り返すため、世代を超えた予防対策が必要不可欠です。
今回は「赤ちゃんのRSV予防」についてポストします。
このテーマ、実は2025年7月にAJRCCMで「in press」になったばかりの新情報なのです。
Cacho F, et al. RSV Prevention in Infants and Young Children. Am J Respir Crit Care Med 2025.
「RSVってそんなに怖いんですか?」
はい、RSVは一般的なウイルス感染ですが、乳児にとっては命に関わることもあるウイルスです。
とくに生後6か月未満の赤ちゃんは、重症化しやすく、入院のリスクが高いのですよ。
「そんなRSVに対して、どんな予防法があるんですか?」
大きく分けて2つの選択肢があります。
① 妊娠中に接種する「母体RSVワクチン(アブリスボ Abrysvo®)」
このワクチンは、妊婦さんに接種することで赤ちゃんに抗体を移行させて守るという仕組みです。
💉 ポイントまとめ:
- 接種時期:妊娠32週〜36週
- 効果:出生後6か月間のRSVによる入院を57%減少
- 副反応:注射部位の痛み、頭痛、筋肉痛、吐き気など
- 安全性:一部で早産の可能性が示唆されましたが、複数の研究では関連性なしと報告されています
妊娠後期に接種することで、生まれた瞬間から赤ちゃんを守ることができるのは大きなメリットですね。
💡補足:日本でもAbrysvo®(アブリスボ)は2024年に承認され、妊婦への接種が始まっています。
② 赤ちゃんに直接投与する「抗RSV抗体(Nirsevimab:ベイフォータス®)」
こちらは赤ちゃん自身に予防抗体を注射する方法です。いわゆるモノクローナル抗体ですね。
🛡 ポイントまとめ:
- 代表製剤:Nirsevimab(商品名:ベイフォータス Beyfortus®)
- 投与回数:シーズンごとに1回でOK(効果は5か月)
- 効果:重症RSV感染のリスクを約80%減少
- 適応:
- 妊婦ワクチン未接種児
- 妊婦ワクチン接種済でも、早産や母体の免疫不全などの条件下では使用推奨
👶 どんな赤ちゃんに使う?
生後8か月未満の赤ちゃんを基本対象とし、ハイリスク児(早産児、慢性肺疾患、免疫不全などは2シーズン目も対象となることがあります。
💡補足:日本ではBeyfortus®(ベイフォータス)が2023年に承認され、全国の医療機関で利用可能となっています。
❓「ワクチンと抗体、どちらを選べばいいの?」
これは個別の状況によります。
- 妊婦さんが適切な時期にワクチン接種を済ませていれば、生まれた赤ちゃんには抗体が備わっており、追加の抗体投与が不要になることもあります。
- 一方で、抗体製剤の方が効果持続期間が長いとされていることから、ハイリスク児や不確定要素がある場合には抗体投与が好まれるケースもあります。
産婦人科と小児科の連携がとても重要ですね。
📝 まとめ
- RSVによる重症感染は予防可能な時代になってきました!
- 2つの方法:「妊婦ワクチン(Abrysvo®)」と「乳児抗体製剤(Beyfortus®)」
- それぞれにメリットと留意点があるため、医療現場での判断と説明がカギです
- 日本でも両製剤は承認済。これからの秋冬に向けて情報提供と準備が重要です
👩⚕️妊婦さんは、RSVワクチン接種について産婦人科や小児科と連携し、早めに相談しておくと安心です。
RSVは家族や地域内で小児・成人・高齢者間を行き来し、特に赤ちゃんと高齢者が重症化しやすいのが特徴。
高齢者向けのRSVワクチンも登場しています。
だからこそ、家族全体で予防する視点がこれからの鍵になります。

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