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深掘り

「呼吸困難」は正式、「呼吸困難感」は非公式、 では呼吸困難感は“使ってはいけない”のか?

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はじめに

先日、Xで「呼吸困難」と「呼吸困難感」を使い分ける、という趣旨の投稿をしたところ、反響をいただきました。

その中には、呼吸困難感について、

「正式ではないから使うべきではない」

「誤りだ」

「呼吸困難にはそもそも“感覚”の意味が含まれているので、さらに“感”をつけるのはおかしい」

といったご意見もありました。 私もこの点については、公式には推奨されない語であることは理解しており, ご指摘としてもっともだと感じています。

私自身の理解としては下記のとおり:

「呼吸困難」
→公式用語

「呼吸困難感」
→呼吸困難の定義を満たすかどうかまだ判断がつかない”あいまいな状態”または呼吸困難に似たような症状を示す。
暫定的に使う”非公式”用語。
積極的に使わない方がいい。

それぞれ正式・非公式の用語である以上、区別する必要があると思い、投稿しました。

ただ、後述しますが、日本呼吸器学会が現在の公式資料でも「呼吸困難感」を使っているため、「本当にダメな言葉なのか?」というモヤモヤもありました。

そこで、実際に各学会での扱いがどうなっているのかを改めて確認してみた次第です。

呼吸器学会ではどう扱っている?

「呼吸困難感」は正式用語として認定されていません。

…ですが「非推奨」 という記載もありません。

そして重要なのですが、 2025/11/21時点で公開されている呼吸器学会HPや公式ガイドラインの中で「呼吸困難感」が一定程度使用されています(一部抜粋)。

文脈によって「呼吸困難」と区別して使い分けられています。

これらはいずれも2023年以降の文書であり、査読も経ていることから、「正式ではないが、完全に排除もされていない、場合によっては許容されている語」というように扱われています。

そのため私自身も、公式な場では「呼吸困難」を用いますが, フランクな場では「呼吸困難感」を用いることは許されるのではないか、と考えていました。

なぜなら、我々呼吸器内科医のボスである呼吸器学会が公式に使用しているからです。


日本緩和医療学会では?

日本緩和医療学会員の先生から、「呼吸困難感は誤りだから使ってはいけない」という批判が多かったのですが、これについて調べました。

調べたところ、確かに「呼吸困難感」の使用を推奨しておらず、避けるべき語として扱っていることがわかりました。

つまり、緩和医療学会においては「呼吸困難感」の使用はほぼ禁忌に近い扱いになります。

また、呼吸器学会員の中には緩和医療学会員でもある先生がいるため、「呼吸困難感=使うべきではない」という立場の呼吸器科医がいることも理解できます。

この点で、

・呼吸器学会:学会資料でも使用可

・緩和医療学会:使用を推奨しない という違いが存在しています。


日本医学会では?

さらに日本医学会の用語集についてもご指摘を受け、確認しました。

ここでも正式は「呼吸困難」。

「呼吸困難感」はありませんでした。

非推奨といった文言もありません。

興味深いことに、 2015年日本医学会分科会用語委員会の議事録では、呼吸困難感について『違和感はあるがこれくらいは許せる』という表現がありました。

10年前ですが、すくなくとも当時は強く否定する立場ではなかったようです。(現在、その立場に変更があるかどうかの資料は見つかりませんでした。)


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まとめ

まとめると、

・正式用語は「呼吸困難」(ここは各学会一致)

・呼吸困難感の扱いは非公式だが、以下の点で異なる
– 呼吸器学会:現在も学会資料で使用可
– 緩和医療学会:使用しないことを推奨
– 日本医学会:正式ではないが、強い否定はしていない

….という状況です。 学会の立場の違いによって許容度が変わっているわけです。

とはいえ、呼吸困難感はあくまで非公式な用語であり、今回のように誤解や批判を招く可能性があります。

したがって、公式の場では使用を避けるべきだという点は私も改めて実感しました。

しかし、呼吸器学会そのものは現時点では公式な場で「呼吸困難感」という表現を使っている、あるいは区別して使い分けています。

そしてこれは身も蓋もない話ですが、用語の正しさを最終的に決めるのはその時代の学会です。

現在の定義が正しくても、いくら我々が主張しても、学会の方針が変われば、それがいつか誤りとして扱われることもあることに注意が必要ですね。

今回とても勉強になりました。


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