呼吸器症例クイズ!
Xで症例クイズ出していましたが、これからブログの方にも載せていこうと思います。
症例提示
いろいろな診療科で遭遇する可能性のある疾患!
51歳女性
主訴は労作時の呼吸困難
詳細はスライド参照してね

①最も鑑別の上位に挙がる病態は?
- 抗ARS抗体症候群
- 特発性NSIP
- 全身性硬化症(強皮症)
- 特発性肺線維症
②あなたが最も避ける治療は次のうちどれ?
- プレドニゾロン40mg+タクロリムス
- プレドニゾロン10mg+ミコフェノル酸モフェシル
- ニンテダニブ+ミコフェノル酸モフェシル
- リツキシマブ
解説

①最も鑑別の上位に挙がる病態は?
本症例では間質性肺疾患(ILD)を認めます。
画像では、下肺野優位に気管支血管束に沿った陰影と、末梢胸膜側まで広がる比較的均一なすりガラス影・網状影が観察され、NSIPパターンに近い所見です。
ILDが特発性か二次性かを鑑別する必要がありますが、本症例では手指の皮膚硬化(つまめない)、指尖部の瘢痕、ILDの存在などから、本邦の全身性硬化症(強皮症)の診断基準を満たします(スライド参照)。
答え:全身性硬化症(強皮症)
また、冬季にみられる手指の色調変化はレイノー現象と考えられます。
慢性的な便秘と下痢の併存も、強皮症に特徴的な消化管運動障害に合致します。
さらに胸部CTでは、肺動脈径の拡大および上行大動脈径との比の上昇が認められ、肺高血圧症の可能性を示唆する所見です。 また、画像に写る食道の明らかな拡張も、年齢を考慮すると異常であり、強皮症に典型的な消化管病変として矛盾しません。
尚、本疾患ではRNAポリメラーゼⅢ抗体が陽性でした。 本抗体は、後述する強皮症腎クリーゼのリスク因子として知られています。

②あなたが最も避ける治療は次のうちどれ?
本疾患に対する治療としては、高用量ステロイド(特にPSL 15 mg/日以上)が強皮症腎クリーゼのリスク因子となることが知られており、ガイドラインでも使用に注意が必要とされています。 (スライド参照)
したがって、どうしてもステロイドを併用したい場合にはPSL 10~15 mg/日未満とすることが望ましいとされます。
また、カルシニューリン阻害薬(CNI)も腎クリーゼのリスクを上昇させる可能性が指摘されています。
以上より、避けたい治療選択肢は以下となります。
答え:プレドニゾロン 40 mg + タクロリムス
なお、PSL 10 mg/日以下の使用は、強皮症関連ILDの臨床試験において許容されており、実際にこの程度であれば他の治療と併用されることがあります。
治療薬としては、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)、ニンテダニブ、リツキシマブが本邦で保険収載されており、使用可能です。
実臨床では、MMFまたはニンテダニブの単剤使用、あるいは両者の併用、さらに少量ステロイド(10 mg/日以下)を併用するケースがあります。
リツキシマブについては第一選択となることは多くありませんが、MMFやニンテダニブの使用が困難な症例では治療選択肢として検討可能です。
※ただし、ILDの急性増悪の際にはやむを得ず、高用量ステロイドを使わざるを得ないことがあります。

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