呼吸器症例クイズ!
Xで症例クイズ出していましたが、これからブログの方にも載せていこうと思います。
症例提示
外来。近医から紹介。
58歳女性、肺炎。 指導医「(キノロン系抗菌薬無効?)
A先生、ファーストタッチ頼んだぞ!」
専攻医A「は、はいッ!」
——診察と検査——(詳細はスライド)
専攻医A「せ、先生っ! 大変です! “アレ”かもしれません!」
指導医「だろ!?俺もそう思った! さぁ次どうする?」
専攻医A「とりあえず精査入院でアレですね!」
——入院経過 約1週間——
専攻医A「せ、先生ッ!…やはり、 βラクタム系抗菌薬も無効です!」
指導医「やはり、そうか! A先生!気管支鏡検査だ!!」
専攻医A「は、はいッ! ぜひ、オレにやらせて下さいッ!」
・・・・・・
指導医「さて、ここで問題です。」
“アレ”の正体は?(診断は?)
専攻医A「回答…お願いします!!」


問1. どんな疾患を鑑別の最上位に挙げる?
- レジオネラ肺炎
- 肺結核
- 特発性器質化肺炎
- 慢性好酸球性肺炎
解説
本症例は、
微熱と咳嗽を主訴とし、画像上多発浸潤影を認めたことから、まず肺炎が疑われた症例です。
経過は数か月以内と比較的短く、急性〜亜急性の経過であるため、初期対応として感染症としての肺炎を第一に考えることは妥当です。
しかし、
尿中肺炎球菌抗原およびレジオネラ抗原はいずれも陰性であり、その後に施行した気管支鏡検査でも有意な菌は検出されませんでした。
クライオ生検検体においても肉芽腫形成は認められませんでした。
また、キノロン系およびβラクタム系抗菌薬はいずれも無効でした。
以上より、この時点で、日常診療で遭遇する一般的な感染症、ならびに今回解答候補になったレジオネラや結核の可能性は、かなり低いと判断できます。
次に、
これらの経過を踏まえて胸部CT所見を確認します。
両肺野に多発する浸潤影を認め、いずれも胸膜近傍に非区域性に分布しています。
これは、典型的な感染症にみられる区域性分布とは異なる所見です。
また、浸潤影以外の肺野には、明らかな線維性変化(reticular opacities)は認められません。
画像所見からは、
感染症以外の鑑別として、器質化肺炎(OP)や慢性好酸球性肺炎(CEP)が考えられます。
一方で、慢性の線維性ILDを示唆する所見はありません。


次に病理所見です。
少なくとも悪性所見は認められません。
画像的にはOPとCEPの鑑別が問題となりますが、末梢血および気管支肺胞洗浄液(BALF)における好酸球増多は認められず、クライオ生検肺においても好酸球浸潤は目立ちませんでした。
一方、BALFではリンパ球上昇がみられ、生検肺では肺胞・肺胞管±呼吸細気管支内に疎な結合組織性ポリープ、いわゆるマッソン体が認められました。
この所見は、右側のEVG染色を参照すると理解しやすいかと思います。
本組織では、肺胞壁を縁取る弾性線維が保たれており、肺胞構造の破壊は認められません。
本症例は外科的肺生検ではないため、OP成分が部分的にしか評価できていない可能性があり、NSIP+OPの可能性も理論的には考慮する必要があります。
しかし、画像上NSIPパターンを示唆する所見は乏しく、総合的にはOPパターンと判断するのが妥当と考えられます。
さらに、 臨床経過や各種検査結果から、膠原病、血管炎、過敏性肺炎を積極的に疑う病歴や所見は認められませんでした。そのため、二次性器質化肺炎の可能性は低く、最終的に特発性器質化肺炎と診断しました。
答え:特発性器質化肺炎
同様のパターンについて解説した過去のスライドを添付しますので、あわせてご参照ください。



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