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ゆるネタ

研修医Bの「救急外来」62歳男性。 発熱、呼吸困難、レントゲンで肺水腫?

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救急外来

他院から救急搬送、62歳男性。
発熱、呼吸困難、レントゲンで肺水腫?

指導医「ん~心不全か?肺炎か?
B先生、ファーストタッチ頼んだぞ!」

研修医B「は、はいっ!」

—— 10分後 ——

研修医B「せ、先生っ!! 大変です!
腎盂腎炎かもです!う~ん、ARDS?」

指導医「へ?腎臓?なんでまた…」

研修医B「なんか、心エコーでぇ…
収縮能、左房容積、拡張能よくてぇ…
ん~、じゃあ、心不全ちゃうやないかい!
って思ってぇ…

本人に、ぜんぜん咳も痰もなくてぇ…
ほな、肺炎とも言い切れんやないかい!
って思ってぇ…

本人が言うには『尿路結石やないか?』

いや、絶対ちゃうやろ、って思いながらも
左側腹部に、ん?叩打痛?
え?腹部エコーで腎盂拡大?

こ、これは、尿路結石→腎盂腎炎→敗血症→ARDSって流れか~!

って思ってぇ…」

(ドキドキ)

——そして胸腹部CT——

指導医「才能の塊やないかい」

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解説1

「肺炎か心不全か」という鑑別は、たびたび話題になりますが、もうひとつ忘れてはいけないのが『ARDS』です。

ARDSは、
肺が原因となる場合もありますが、肺外の原因、たとえば今回の症例のような腎盂腎炎や、急性膵炎などを契機として発症することもあります。

そのため「肺か心臓か」という二択にとどまらず、他に原因となる疾患がないか という点が非常に重要です。

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ARDSとは?

ARDSはAcute Respiratory Distress Syndrome(急性呼吸窮迫症候群)の略語です。
現在広く用いられている定義は2012年のベルリン定義 に基づいており、近年では2023年に米国胸部学会から新たな国際的定義案も提案されています。

ざっくりいうと、
・何らかの原因/基礎疾患が先行し、

それで引き起こされる二次的な病態
・1週間以内の経過で急性に発症
・胸部画像で両側性の浸潤影
・心不全/体液過剰のみでは説明できない
・低酸素性呼吸不全
……と定義されます。

原因となりうる疾患については、スライドをご参照ください。

画像

ARDSを診断する意義は?

原因が必ずしも肺炎や心不全に限られないという点にあります。

ざっくりARDSの治療で重要なのは、
・原因疾患の治療
・適切な呼吸管理
・その他
です。

たとえば、
腎盂腎炎による敗血症性ARDSの場合、原因疾患は肺ではなく腎盂腎炎です。
さらに、その背景に尿路結石による閉塞があれば、閉塞を解除しなければ腎盂腎炎の治療自体が進みません。
つまりこの場合、治療の主科は呼吸器内科や循環器内科ではなく、泌尿器科になりうる、ということです。

同様に、急性膵炎であれば消化器内科、腹腔内や他臓器の膿瘍であれば関連科によるドレナージ、くも膜下出血であれば 脳神経外科、多発外傷であれば 外科・整形外科・救急科、など、原因疾患によって主治療科や治療方針は大きく異なります。

間接傷害パターンの重要性は?

「ARDSか?」と考えた場合、特に間接傷害パターンでは、肺外の原因検索が重要です。
実際には、画像で直接・間接傷害を区別することは難しく、混在したパターンも示します。しかし、典型的な画像・臨床像も一定数存在するため、その特徴を知っておくことに損はありません。

解説2

今回のB先生について

今回のB先生は研修医(2年目後半)ですが、”なぜか”心エコーが上手で、本症例でも心不全が主因ではないと判断しました。
なお、この判断については、後に循環器内科の上級医に相談し、裏付けを得ております。

また、レントゲンでは肺水腫様に見える所見でしたが、胸部 CTでは間接傷害を疑う分布を示しており、さらに肺炎と考えるには咳や痰といった気道症状が乏しい点にも違和感を持ちました。

そこに、患者さん自身から「尿路結石の既往」というヒントを踏まえ、尿路結石嵌頓 → 腎盂腎炎 → 敗血症 → ARDSという病態を連想できた点は、非常におてがらポイントです。

お見事!

本症例は、若手医療者に対して 「両側性の浸潤影や肺水腫様パターンの画像を見た際に、肺炎か心不全だけでなく、肺外原因によるARDSも鑑別に挙げる重要性」を伝えることを目的としています。

なお、本エピソードは過去の実例をもとに再構成した 架空症例です。掲載している匿名画像は、教育的資料および一部加工画像を用いた架空の症例、感染症学雑誌 第82巻第5号、Radiopaedia rID: 207918を引用しています。

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