論文紹介

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間質性肺疾患

自己免疫性肺胞蛋白症の治療に新時代到来?吸入GM-CSF製剤モルグラモスチムの第3相試験を読む

自己免疫性肺胞蛋白症(aPAP)は、抗GM-CSF抗体によりGM-CSFの働きが抑制され、肺内でのGM-CSF不足によって発症する稀な疾患です。そのため、GM-CSFを吸入薬として外から補う治療が有効ではないかと考えられてきました。近年では、サルグラモスチム製剤「サルグマリン®」が2024年に本邦で保険適応となり、実臨床でも使用が開始されています。本稿では、もう一つのGM-CSF製剤であるモルグラ...
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間質性肺疾患

慢性好酸球性肺炎における世界初の前向きRCTの意義

呼吸器内科で遭遇する慢性好酸球性肺炎(CEP)は、ステロイドに対する反応性が非常に高い一方で、再発率も高く、治療期間に明確なコンセンサスがありませんでした。この論文は、2015年に発表されたものでありながら、今なお臨床判断のベースとなる国際的に重要なエビデンスです。Efficacy of short-term prednisolone treatment in patients with chro...
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間質性肺疾患

UIPパターンの臨床的意味は背景疾患によって異なるのか?

過去に似たような結果は報告されていますが、この研究では、大規模かつ前向きなILDレジストリと多施設リアルワールドデータを用いて、UIPパターンの臨床的意味が基礎疾患によって異なるかを詳細に調査しているところが新規性のあるところらしいです。Associations of interstitial lung disease subtype and CT pattern with lung functi...
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感染症

HIV以外の免疫抑制によるニューモシスティス肺炎におけるステロイド──28日死亡率に差はなし、それでも見逃せない90日後の効果

抄録だけを見ると『なんだ、28日死亡率に差がないんかい!!』と思ってしまいがちですが、実際にはステロイド併用群の方が28日死亡率に改善傾向があり、さらに90日死亡率や挿管回避率では有意に良好な結果が得られています。Adjunctive corticosteroids in non-AIDS patients with severe Pneumocystis jirovecii pneumonia ...
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間質性肺疾患

抗線維化薬の真のターゲットは誰か? ― PPF診断の先にある“despite management”

大阪大学からの報告ですね。呼吸器学会の総会でも見た演題がPublishされていました。実臨床でも重要な判断になりそうですね。適切な非抗線維化治療を行っても、“despite management” それでも進行してしまう…それがキーポイント!!Effectiveness of antifibrotic treatment in real-world patients with progressiv...
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肺癌や悪性腫瘍

「肺がんリスクに“食”が関与?──超加工食品(UPF)と肺がんの関連を探る」

Thorax誌に掲載された最新の大規模コホート研究では、“超加工食品(Ultra-Processed Foods: UPF)”の摂取が肺がん、特にNSCLCやSCLCのリスク上昇と関連することが示されました。日常にあふれる手軽な食品が、じわじわと肺を蝕んでいるかもしれない——Kanran Wang, et al. Association between ultra-processed food c...
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論文紹介

急性脳損傷 × 人工呼吸:低換気量で死亡率が下がる?国際研究で見えた“脳と肺”のバランス

久しぶりに集中治療領域の論文を読みました。今回ご紹介するのは、「急性脳損傷(ABI)患者における人工呼吸の換気量設定」についての注目研究です。肺にやさしい“低一回換気量換気(LTVV)”は広く知られていますが、「脳にやさしいかどうか?」は今も議論が分かれるところ。本研究は、18か国・73施設のABI患者1510人を対象に、LTVVがICU死亡率を下げるかどうかを解析したものです。尚、この研究は、「...
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間質性肺疾患

抗RNAポリメラーゼⅢ抗体陽性全身性硬化症患者の肺と腎:間質性肺疾患治療と腎クリーゼのジレンマ

全身性硬化症(SSc)に合併する間質性肺疾患(ILD)は、呼吸器内科にとって無視できないテーマです。しかし、抗RNAポリメラーゼIII抗体(ARA)陽性のSSc患者では、ILDの背後に“忍び寄る腎クリーゼ(SRC)”のリスクが潜んでいます。肺を守る治療が、腎を追い詰めることも──。大規模メタ解析の結果をもとに、ILDとSRCのバランスをどう取るべきか、かんがえてみたい・・・Abderrahmane...
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肺癌や悪性腫瘍

小細胞肺がんセカンドラインに新風?タルラタマブに期待

日本でも2025年4月に保険収載されたタルラタマブ(イムデトラ®)が、再発SCLCの“次の一手”として期待されます。第2相DeLLphi‑301での安全性・奏効率、そして第3相DeLLphi‑304での延命効果という段階的エビデンスの積み重ねが、この注目を裏付けていますね。Giannis Mountzios et al. Tarlatamab in Small-Cell Lung Cancer a...
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肺癌や悪性腫瘍

ステージIII EGFR変異非小細胞肺がんにおける免疫チェックポイント阻害薬──放射線化学療法後デュルバルマブの可能性

これまた、リアルワールド解析です。切除不能ステージIII EGFR変異陽性NSCLCにおけるCCRT後のデュルバルマブ投与の有効性と安全性について、最新の後ろ向きコホート研究を読み解きます。Fujisaki et al. Durvalumab after concurrent chemoradiotherapy for sensitizing epidermal growth factor rec...
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未分類

咳の救世主?リフヌア(ゲファピサント)のリアルワールドデータ

近畿大学の松本先生の論文ですね。共著には、新実先生(名古屋市立大)をはじめ、日本の咳診療の第一線で活躍する先生方がずらりと並びます。リフヌアは、味覚障害が心配で、実際の臨床では使いどころに迷う薬でしたよね。もっと使ってみようかな。Matsumoto H, et al. Real-world usage and response to gefapixant in refractory chronic...
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肺癌や悪性腫瘍

Perioperative ICIの実力とは?切除可能NSCLCにおけるリアルワールドデータ

Desai A, et al. Clinical Outcomes of Perioperative Immunotherapy in Resectable Non–Small Cell Lung Cancer. JAMA Network Open 2025.引用文献はじめに肺がんは依然としてがんによる死亡原因の上位を占めており、中でも早期非小細胞肺がん(NSCLC)は40~45%を占めるほどです...
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肺癌や悪性腫瘍

免疫チェックポイント肺障害を“治療前に予測”――HMGB1の臨床的可能性

広島大学の呼吸器内科を中心とした、日本国内14施設による多施設共同前向き研究ですね。Kakuhiro Yamaguchi et al. The clinical potential of HMGB1 for the risk assessment of severe checkpoint inhibitor pneumonitis: A prospective multicenter study ...
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