2023 American College of Rheumatology (ACR)/American College of Chest Physicians (CHEST) Guideline for the Treatment of Interstitial Lung Disease in People with Systemic Autoimmune Rheumatic Diseases. Arthritis Rheumatol. 2024.
- はじめに
- ILDの第一選択治療
- SSc-ILD以外のILDにおけるグルココルチコイド
- SSc-ILDにおけるグルココルチコイド
- SARD-ILD全体におけるMMF、RTX、CYP、AZP
- SSc-ILD・MCTD-ILDにおけるトシリズマブ
- SARD-ILD全体におけるレフルノミド、メトトレキサート、TNF阻害剤、アバタセプト
- SSc-ILDにおけるニンテダニブ
- SjS-ILD、IIM-ILD、MCTD-ILDにおけるニンテダニブ
- RA-ILDにおけるニンテダニブ
- SARD-ILD全体におけるピルフェニドン
- すでにMMF治療中のSARD-ILDにおいて、ILDの進行が認められない場合にニンテダニブやピルフェニドンを追加してもよい?
- 新規に治療を考慮するSARD-ILDに対して、MMF単剤と比較してニンテダニブまたはピルフェニドンとMMFと併用してもよい?
- IIM-ILDにおけるJAK阻害剤(JAKi)
- IIM-ILD以外のSARD-ILDにおけるJAKi
- IIM-ILDにおけるカルシニューリン阻害剤(CNI)
- IIM-ILD以外のSARD-ILDにおけるCNI
- IVIGまたは血漿交換
- 幹細胞移植や肺移植と最適な内科的治療ではどちらが第一選択オプション?
- PF-ILDへの対応
- RP-ILDの治療
- まとめ
はじめに
概要については前回の記事で紹介していますのでご参照ください。→<こちら>
この記事は日常診療の際に、辞書みたいに使って頂けるとうれしいです。
尚、この論文では膠原病ILDをSARD-ILDと表記しています。CTD-ILDと置き換えてもよいでしょう。
このガイドラインは、次の3つに焦点を当てています:
- ILDの第一選択治療
- 治療中でも進行するILD(PF-ILD)への対応
- 急速進行性ILD(RP-ILD)の治療
治療法は専門家が複数の選択肢を比較し、「優先されるオプション」と「追加的なオプション」に階層化しています。ただし、どの治療法を使うかは患者さんの状態や病気の特徴に合わせて決める必要があります。
基本的にこの領域のエビデンスの確実性は「低い~非常に低い」となっているので、
推奨度が非常に高いわけではなく、方向性を示しているだけであることに注意が必要だと思います。
1. ILDの第一選択治療
- 多くの場合、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)が推奨されています。
安全性が高く、幅広い疾患に対応できるのが特徴です。
日本でもMMFの使用が増えていますが、海外ほど主流ではない印象ですね。
ちなみに、私の施設ではよく使っています。 - 推奨されない治療法:
メトトレキサート(MTX)、レフルノミド、TNF阻害剤、アバタセプト
これらはILDには効果がないか、薬剤性肺障害のリスクがあるとされています。
ただし、アバタセプトはILDに悪影響を与えないという報告もあります。 - ステロイドの扱い
- SSc-ILD以外ではステロイドが条件付き推奨になっています。
- SSc-ILDでは、腎クリーゼのリスクがあるため、長期使用は強く反対されています。
2. 治療中でも進行するILD(PF-ILD)への対応
以下の治療法への修正か追加が推奨されています:
- リツキシマブ(RTX)
- シクロホスファミド(CYP)
- ニンテダニブ
- MMF
ただし、長期的なステロイドの使用は避けるべきとされています。
使用する場合は、次の治療への「橋渡し」として短期間に限るべきと記載されています。
3. 急速進行性ILD(RP-ILD)の治療
このガイドラインにおけるRP-ILDは、一般的なILDの急性増悪(慢性経過中に急性悪化が生じる状態)のような表現は見られません。むしろ、急性発症するILDというニュアンスで記載されています。
この点が、このガイドラインの解釈が難しい部分であり、治療方針を検討する上で慎重に考慮する必要があるポイントです。。
推奨される治療法
- ステロイドパルス療法や、ステロイド+複数の免疫抑制剤の併用療法が基本です。
- 抗MDA5抗体陽性RP-ILDの場合
CYP+タクロリムス(TAC)+グルココルチコイドの3剤併用療法が条件付きで推奨されています。 - IVIG(免疫グロブリン静注)
重症で感染リスクが高い患者に有効とされていますが、長期使用は推奨されません。
推奨されない治療法
- 血漿交換は救済療法としてのみ検討されるべきで、第一選択治療としては推奨されません。
それではどうぞ。辞書みたいに使ってください。
ILDの第一選択治療
SSc-ILD以外のILDにおけるグルココルチコイド
条件付き推奨
基本方針:
グルココルチコイド(ステロイド)は、他の免疫抑制薬と併用するのが一般的で、短期間の使用に価値があるとされています。そのため、他の免疫抑制薬とは別枠で扱われています。
注意点:
- 線維化が主体の病態(例:RAでのUIPパターン)では、グルココルチコイドが使われないこともあります。ただし、専門家の間で意見が分かれています。
- MCTD-ILDやIIM-ILDでSScに関連する特徴がある場合、強皮症腎クリーゼのリスクがあるため、慎重に使用する必要があります。
これがメインの治療ですね。
SSc-ILDにおけるグルココルチコイド
強く反対
強皮症腎クリーゼのリスク:
特にプレドニゾン15 mg/日以上の高用量で腎クリーゼのリスクが高まるとされていますが、低用量でもリスクが完全に否定されているわけではありません。
注意すべき症例:
RNAポリメラーゼ3抗体陽性例では、リスクが特に高いことが知られており、十分な注意が必要です。それ以外の症例では、リスクとILDに対する効果とのバランスを慎重に評価することが重要です。
推奨される使用方法:
使用する場合は、15 mg/日未満の最低限の効果的な用量を目指すべきとされています。
エビデンスの評価:
グルココルチコイドの害に関するエビデンスは中程度の確実性ですが、有効性を明確に示すデータが不足しているため、強い反対がされています。
特にRNAポリメラーゼ3抗体陽性例はクリーゼのリスクが高いと言われているので、注意が必要です。
それ以外の症例ではクリーゼのリスクとILDに対する効果のベネフィットの比を考えて、我々の施設ではPSL15mg/日以下で使用して漸減していることが多いです。
SARD-ILD全体におけるMMF、RTX、CYP、AZP
第一選択の治療オプションとして条件付き推奨
ミコフェノール酸モフェチル(MMF)
- SSc-ILDにおけるMMFの使用に関するデータは、CYPと同様の治療効果を示しており、副作用プロファイルがより良好であることが示されています。
この点と、他の疾患での限られたデータおよび豊富な臨床経験に基づき、投票パネルはMMFをSARD全体にわたる優先的な第一選択ILD治療オプションとして条件付きで推奨しました。 - ただし、肺外症状やその他の要因(患者の選好など)に基づいて、他の第一選択ILD治療オプションが選ばれることもあります。
効果と安全性のバランスが良く、第一選択治療として推奨されています。
リツキシマブ(RTX)
4つの試験と観察研究の結果、リツキシマブはSSc、RA、IIMの患者において、FVCの改善または安定化が示唆されています。
適応が考えられる併存病態:活動性の関節炎、筋炎、シェーグレン症候群に伴う神経障害
注意点: 感染症のリスク、高コスト、ワクチンの免疫原性への影響
ILD以外の併存症に効果が期待されますが、感染やコストといったリスクを慎重に評価する必要あり。
シクロホスファミド(CYP)
5つの試験と複数の観察研究で、SSc-ILD、IIM-ILD、RA-ILDにおいて、FVCの改善または安定化が示されています。
- 副作用:
他の薬剤と比べて副作用が多く、以下のリスクが挙げられます:- 感染症
- 骨髄抑制(白血球減少など)
- 出血性膀胱炎
- 不妊
- 患者パネルの意見:
患者パネルでは、生命の危機に関わる状況や大きな利益が見込まれる場合には、これらのリスクを受け入れる意向が示されました。 - 推奨の位置づけ:
効果が認められているものの、副作用が多いため、CYPは「第一選択治療の追加的な選択肢」として推奨され、優先治療とは位置づけられていません。
FVCの改善が期待できる一方で、副作用が多いため、慎重に使用が検討される治療法です。特に重篤な状況での選択肢として位置づけられています。
アザチオプリン(AZP)
複数の疾患で第一選択治療の選択肢として支持されています。
SSc-ILDでは、他の治療法と比べた効果のエビデンスが限られているため、「優先治療(preferred)」ではなく「追加的な選択肢(additional option)」として位置づけられています。
多くの疾患で使える治療法ですが、SSc-ILDではエビデンス不足のため補助的な選択肢とされています。
SSc-ILD・MCTD-ILDにおけるトシリズマブ
第一選択の治療オプションとして条件付き推奨
トシリズマブは、SScに関連する試験でプラセボと比較してFVCの安定化が確認されています。
- 副作用の評価:CYPに比べて副作用のリスクが低いとされています。
- 推奨される状況:
トシリズマブは以下の条件下でSSc-ILDの第一選択治療として推奨されています:- 炎症性フェノタイプ(CRP上昇、皮膚硬化の進行など)
- 早期のびまん型疾患を伴う場合
- その他の疾患への適用:
- MCTD-ILDでは、特にSScの特徴を伴う場合に追加的な選択肢として推奨されています。
- RA-ILD、SjD-ILD、IIM-ILDにおける使用については、パネルで合意に至りませんでした。
SSc-ILDの特定の患者群において優先される治療法ですが、他の疾患に対する効果にはさらなる研究が必要です。
SARD-ILD全体におけるレフルノミド、メトトレキサート、TNF阻害剤、アバタセプト
第一選択のILD治療オプションとして使用することを条件付きで反対
レフルノミド
リスク: まれにILDの新規発症や悪化と関連することがあります。
効果: ILDへの有益性は不確実であり、明確な効果は示されていません。
ILDへの効果が不明であり、まれに悪化リスクがあるため、慎重な判断が求められる薬剤です。事実上使わないと言ってもいいでしょう。
メトトレキサート(MTX)
- リスク: 薬剤性肺炎を引き起こす可能性があります。
- ILDへの影響: 観察データでは、既存のILDの進行とは関連がないとされていますが、ILDに対する有益性を示すエビデンスは不足しています。
- 使用の方針:
- 肺外症状の治療目的で使用している場合は継続可能。
- ただし、メトトレキサート肺炎の懸念がある場合や、使用中にILDが発生した場合は中止を検討すべきです。
ILDの進行と直接関係はないとされていますが、薬剤性肺炎のリスクを考慮し、慎重に使用する必要があります。肺外症状が優先される場合に適応されることが多いです。これも呼吸器内科医は使わないでしょう。
アバタセプト
- ILDへの影響: ILDの悪化とは関連しないとされています。
- 中止の必要性: ILDが理由でアバタセプトを中止する必要はないと考えられています。
- 効果の不確実性: ILDに対する有効性についてはエビデンスが不足しており、効果は明確ではありません。
ILDを悪化させないとされ、安全性の面では問題が少ないものの、ILDへの効果に関するデータは限定的です。膠原病内科医と相談して関節症状に行われる治療でしょう。
TNF阻害剤
ILDへの影響: ILDに有益な効果を示すデータはありません。
一部の低品質な観察データでは、害または効果がないと示唆されています。
使用の方針: 肺外症状の治療には使用可能です。ただし、使用中にILDが発症した場合は中止を検討するという意見もあります。
ILDには推奨されませんが、肺外症状の治療目的で使用されることがあります。ILDが悪化した場合には使用継続を慎重に検討する必要があります。
SSc-ILDにおけるニンテダニブ
第一選択の治療オプションとして条件付き推奨
SSc-ILDにおいて、ニンテダニブはFVCの低下を遅らせる効果があるとされています。ただし、安定化や改善は示されていません。
- 制約:
- 基本的にILD以外の膠原病症状には効果がない。
- 副作用(特に下痢)が多い。
- コストが高い。
- 推奨の位置づけ: 上記の制約から、免疫抑制薬が優先され、ニンテダニブは「追加的な選択肢(additional option)」として推奨されています。
SSc-ILDでFVC低下を遅らせる効果があるものの、制約が多いため、一次治療としては補助的な治療選択肢とされています。免疫抑制薬が優先されます。緩徐進行例なら選択肢になるかも。
SjS-ILD、IIM-ILD、MCTD-ILDにおけるニンテダニブ
第一選択のILD治療オプションとして使用することを条件付き反対
- 効果のエビデンス: SjS-ILD、IIM-ILD、MCTD-ILDにおけるニンテダニブの有効性に関するエビデンスは限られています。
- 制約:
- コストや副作用(特に下痢)への懸念がある。
- 第一選択治療としては、免疫抑制薬が優先されます。
- 特例としての使用: UIPパターンのILD患者には、ニンテダニブを検討する場合があるとされています。
SjS-ILD、IIM-ILD、MCTD-ILDではエビデンスが乏しく、免疫抑制薬が優先されます。ただし、UIPパターンの場合には使用を考慮することがあるかも?
RA-ILDにおけるニンテダニブ
第一選択の治療オプションとして推奨するかどうかについて合意に至らず
- エビデンスの制限: INBUILD試験に参加したRA-ILD患者は、進行性のILDを対象としており、一般的なRA-ILD患者を反映していない可能性があります。
- 懸念点: コストや副作用への懸念から、ニンテダニブに対する評価は控えめです。
- 使用が検討される場合: 一部の専門家は、線維化/UIPパターンのRA-ILD患者において、ニンテダニブを第一選択治療として考慮しています。
RA-ILD患者全般に推奨されるわけではありませんが、線維化やUIPパターンを伴う進行例では使用が検討されることがあります。自験例ではそういう方もおられます。
SARD-ILD全体におけるピルフェニドン
第一選択の治療オプションとして使用することを条件付きで反対
エビデンスがすくなく、副作用やコストとのバランスがよくないので・・・・
すでにMMF治療中のSARD-ILDにおいて、ILDの進行が認められない場合にニンテダニブやピルフェニドンを追加してもよい?
第一選択の治療オプションとして条件付きで反対
以下の理由から、進行がない患者への併用療法については慎重な姿勢が示されています:
- 高いコスト
- 副作用の懸念
- 進行がない患者における効果に関するエビデンスの不足
進行がない患者に対して、ニンテダニブやピルフェニドンをMMFに追加することは、コストや副作用、エビデンスの不足から慎重に検討されるべきでしょう。
新規に治療を考慮するSARD-ILDに対して、MMF単剤と比較してニンテダニブまたはピルフェニドンとMMFと併用してもよい?
第一選択の治療オプションとして条件付きで反対
- 懸念点: 進行がない患者において、抗線維化薬とMMFを同時に使用する場合、以下の問題が懸念されています:
- 高コスト
- 副作用のリスク
- 患者パネルの意見:
- 重要な治療であれば副作用を受け入れる意向を示したものの、
- 消化器系の副作用がQOLに大きく影響する可能性が指摘されています。
- 他の免疫抑制薬との併用: 抗線維化薬と他の免疫抑制薬を同時使用する場合も、同様の課題が当てはまります。
抗線維化薬とMMFの同時併用は、進行がない患者ではコストや副作用の懸念が大きく、特に消化器系の副作用が患者のQOLに影響を与える点が注意されているようです。
IIM-ILDにおけるJAK阻害剤(JAKi)
第一選択の治療オプションとして条件付き推奨
IIM-ILD以外のSARD-ILDにおけるJAKi
第一選択の治療オプションとして使用することを条件付きで反対
抗MDA5抗体陽性のDM/CADM-ILDにおける効果: 観察研究の結果、トファシチニブがタクロリムスより死亡率を低下させる可能性が示唆されています。
- 推奨の位置づけ:
- 抗MDA5抗体陽性のDM/CADM-ILDでは、JAKiは「追加的な選択肢(additional option)」として推奨されています。
- ただし、第一選択治療としては推奨されていません。
- 他のSARD関連ILDに対する推奨: データと経験が限られているため、他のSARD関連ILDでの第一選択治療としての使用は推奨されていません。
抗MDA5抗体陽性のDM/CADM-ILDにおいて治療選択肢ですが、第一選択としてではなく、補助的な位置づけです。他のSARD関連ILDでは、使用は推奨されていません。
IIM-ILDにおけるカルシニューリン阻害剤(CNI)
第一選択の治療オプションとして条件付きで推奨
IIM-ILD以外のSARD-ILDにおけるCNI
第一選択の治療オプションとして使用することを条件付きで反対
観察研究により、IIM-ILDにおいて、CNIs(カルシニューリン阻害剤)の有益性が示唆されています。
- 推奨の位置づけ:
- CNIsは、IIM-ILDの第一選択治療として推奨されています。
- 特に、抗MDA5抗体陽性のDM/CADM-ILDや初期の重症ILDにおいて効果が期待されます。
- 優先される薬剤: タクロリムス(TAC)がシクロスポリンよりも効果が高いとされ、優先して使用が推奨されています。
- 注意点:
- 腎毒性のリスクがある。
- 投与やモニタリングの経験が限られている場合がある。
- 他のSARD-ILDへの適用: データや経験が限られているため、他のSARD-ILDでの第一選択治療としての使用は推奨されていません。
IIM-ILDで効果が期待される治療法で、特にTACが推奨されています。ただし、他のSARD-ILDへの使用は慎重に検討すべきです。
私もよく使っております。
IVIGまたは血漿交換
第一選択の治療オプションとして使用することを条件付きで反対
- 効果: IVIGは、筋炎や嚥下障害に対して効果があるとされています。
- 急性期での使用: 感染症のリスクが懸念される急性期に使用されることがあります。
- ILDへの推奨: ILDに対する効果に関するデータや経験が限られているため、IVIGおよび血漿交換は推奨されません。
IVIGは筋炎や嚥下障害には有効ですが、ILDに対してはエビデンスが不足しており、推奨されていません。急性期での特定の状況でのみ使用が検討されます。他に選択肢がない時のサルベージ治療でしょうね。
幹細胞移植や肺移植と最適な内科的治療ではどちらが第一選択オプション?
最適な内科的治療を第一選択の治療オプションとして使用することを条件付きで推奨
- 幹細胞移植: SSc-ILDにおける効果は、以下の理由でエビデンスの確実性が低いとされています:
- フォローアップの欠如
- サンプルサイズが小さい
- 有害事象や死亡率におけるデータの限界
- 移植プロトコルの違い
- 経験豊富な施設で実施されるべき
- 有害事象や死亡リスクを最小限にするため、実績のある施設を選ぶことが推奨されています。
- 肺移植:
- 治療中でも進行が見られる場合に検討されるべきです。
- 重症患者には、早期に肺移植の評価を行うことが推奨されています。
経験豊富な施設で慎重に実施されるべきであり、特に肺移植は進行性の重症例で早期紹介が推奨されますが、まずは最適な内科的治療が行わるべきでしょう。
しかし、私は最適な内科的治療を行いつつ、60歳未満であれば肺移植について常に念頭において診療しています。
PF-ILDへの対応
以下の各推奨事項において、特に明記がない限り、治療を追加するまたは治療を切り替えることを意味しています。
SSc-ILDにおける長期的なグルココルチコイド
強く反対
その他のSARD-ILDに対する長期的なグルココルチコイド
条件付きで反対
- 長期使用は推奨されない: 3~6か月以上の長期的なグルココルチコイド使用は、進行性ILDの治療に頼るべきではありません。
- 短期使用の役割: グルココルチコイドは以下の場合に限り短期的に使用されることがあります:
- 症状が急激に悪化する際の治療(flare)
- 他の治療への移行時の「つなぎ」として
- SSc-ILDでの使用: 次の理由からグルココルチコイドに対して強く反対されています:
- 強皮症腎クリーゼのリスクに関する中程度のエビデンス
- 有効性に関するエビデンスが非常に低い
PF-ILDではグルココルチコイドは短期間の使用に限られ、SSc-ILDではリスクが大きいため長期使用は避けるべきと書かれていますが、実際はそう簡単ではないように思います。しかし、なるべくステロイドに頼らず減量できればよいなと感じました。
MMF、RTX、CYP、ニンテダニブの追加
治療オプションとして条件付きで推奨
ミコフェノール酸モフェチル(MMF)
第一選択治療で進行が見られる場合、MMFへの切り替えが推奨されます。
- 根拠: この推奨は、SSc-ILDとRA-ILDに関する2つの試験と観察研究(いずれもエビデンスの確実性は低い)に基づいています。
- 理由: CYPの毒性(副作用)への懸念があるため、MMFが他の治療法より優先されます。
PF-ILDでは治療中に進行が見られた場合、MMFへの切り替えが安全性と効果の面から推奨されます。
リツキシマブ(RTX)
- 4つの試験と観察研究により、以下の疾患でFVCの安定化または改善が示唆されています:
- SSc-ILD
- MCTD-ILD
- IIM-ILD
- RA-ILD
- SjS-ILD
- SSc-ILDおよびIIM-ILDでの使用方法:
- 一部の専門家は、MMFにRTXを追加して使用するようです。
- 他の専門家は、患者のリスクや好みに応じてMMFからRTXに切り替えるようです。
PF-ILDでは、RTXはFVC改善が期待される治療法で、SSc-ILDやIIM-ILDではMMFとの併用や切り替えが状況に応じて選択されています。
シクロホスファミド(CYP)
- 効果: 5つの試験と観察研究により、以下の疾患でFVCの安定化または改善が示唆されています:
- SSc-ILD
- IIM-ILD
- RA-ILD
- 推奨される位置づけ:副作用が多いにもかかわらず、有効性が認められているため、第2選択治療として位置づけられています。
PF-ILDでは、複数の疾患でFVCの改善が期待できる治療法ですが、副作用のリスクが高いため、補助的な選択肢として使用が推奨されています。
ニンテダニブ
- 使用が検討される場合: ニンテダニブは、HRCTで進行性の線維化が確認される疾患において追加で使用されることがあります。
- 懸念点:
- ニンテダニブはFVCの低下を遅らせる効果にとどまり、安定化や改善までは期待できないとされています。
- 消化器系の副作用が多い。
- コストが高い。
PF-ILDでは、追加で使用されることがありますが、効果の限界や副作用、コストの課題が懸念されています。しかし、本邦では保険適用となっており、数少ない有用な治療オプションであるため、私はよく使用しております。
RA-ILDにおけるピルフェニドンの追加
条件付きで推奨
その他のSARD-ILDにおけるピルフェニドンの追加
条件付きで反対
- 効果: RA-ILDおよびSSc-ILDに関する試験では、症例数が少ないものの、FVCの進行を遅らせる可能性が示唆されています。
- 使用が検討される場合: UIPパターンを伴うRA-ILDでは、ピルフェニドンの使用が考慮されます。
RAのPF-ILDでは、FVC進行の抑制が期待できるものの、エビデンスが限定的です。特にUIPパターンのRA-ILDで使用が検討されますが、本邦では保険適用外ですね。
SSc-ILD、MCTD-ILD、RA-ILDにおけるトシリズマブ
治療オプションとして条件付きで推奨
SjS-ILDおよびIIM-ILDにおけるトシリズマブ
治療オプションとして条件付きで反対
- SSc-ILDにおけるエビデンス: ランダム化比較試験により、トシリズマブの有効性が示されていますが、早期のSSc-ILDを主に対象としたデータです。
- 使用が検討される場合:
- 早期進行性のSSc-ILD
- びまん性皮膚硬化型を伴う場合
- 急性期反応物質(CRPなど)が上昇している場合
- MCTD-ILDでSScの特徴がある場合
- RA-ILDへの適用: トシリズマブはRA-ILDでも条件付きで推奨されていますが、これは関節症状に対する実績やシクロホスファミドよりも安全性が高いと考えられるためです。
PF-ILDでは、早期進行性のSSc-ILDやSSc特徴を伴うMCTD-ILDで有効とされ、RA-ILDでも安全性を考慮して条件付きで使用が検討されます。しかし、この中では、2025年現在RA以外には本邦で保険適用になっていません。
IIM-ILDにおけるCNI
治療オプションとして条件付きで推奨
その他のSARD-ILDにおけるCNI
治療オプションとして条件付きで反対
- 効果が期待される疾患: CNIs(カルシニューリン阻害剤)は、難治性IIM-ILDにおいて特に有益とされています。
- 抗ARS抗体症候群(Anti-synthetase syndrome)
- 抗MDA5抗体陽性例のDM/CADM-ILD
- 推奨される状況:
- 第一選択治療後も進行が見られるIIM-ILDにおいて、治療オプションとして考慮されます。
- ただし、MMFやリツキシマブが優先されます。
- 他のSARD-ILDへの適用: データや経験が限られているため、他のSARD-ILDではCNIsの使用は推奨されません。
PF-ILDでは、難治性IIM-ILDで進行が見られる場合に治療オプションとなりますが、他のSARD-ILDでは使用が推奨されていません。MMFやRTXが優先されることが多いです。
IIM-ILDにおけるJAKi
治療オプションとして条件付きで推奨
- 効果の可能性: 新たなエビデンスにより、JAKiがIIM-ILDの治療法として有望である可能性が示唆されています。
- 推奨順位: しかし、データが限られているため、シクロホスファミドなど他の治療法がJAKiより優先して推奨されています。
PF-ILDでは、IIM-ILDの治療法として期待されていますが、現在のところエビデンス不足のため、他の治療法が優先されます。2025年現在、本邦でIIMに保険適用になっていません。
IIM-ILD、MCTD-ILDにおけるIVIGの追加
治療オプションとして条件付きで推奨
- 観察研究では、IVIGが以下の疾患で使用されていることが報告されています:
- IIM-ILD
- 筋炎優位型のMCTD-ILD
- 使用が検討される状況: 迅速な効果が求められる場合(例:重度の呼吸筋力低下がある場合)に有用である可能性が示唆されています。
PF-ILDでは、IIM-ILDや筋炎優位型MCTD-ILDで、特に急性期で迅速な治療が必要なケースにおいて有用な選択肢とされています。
血漿交換の使用
条件付きで反対
血漿交換の使用を支持するデータは少数の観察研究に限られ、潜在的なリスクがあります。
SSc-ILDにおける幹細胞移植(SCT)および/または肺移植の紹介
条件付きで推奨
- SCTに関する現状:
- 3つの試験が実施されていますが、エビデンスの確実性は低く、副作用に関する研究も不足しています。
- 毒性リスクや、安全に実施できる施設が限られている点が懸念されています。
- 患者パネルの意見: 明確な利益が期待できる場合に、慎重に選ばれたケースで移植を検討したいとされています。
- 進行性ILDの場合:
- ILD治療薬を1つ以上使用しても進行が見られる場合、SCTへの紹介が考慮されることがあります。
- ただし、紹介の適切なタイミングについては合意が得られていません。
- 肺移植について: 肺移植を提供できる施設は限られているため、患者が悪化して適応外となる前に早めの紹介が推奨されます。
PF-ILDでは、SCTと肺移植は進行性ILDにおける選択肢ですが、毒性や実施可能な施設の制限から、慎重な判断が必要です。特に肺移植は、状態が悪化する前の早期紹介が重要です。
私は60歳未満であれば肺移植について常に念頭において診療しています。
RP-ILDの治療
メチルプレドニゾロンパルス療法
第一選択治療として条件付き推奨
- 推奨される治療:
- メチルプレドニゾロンのパルス療法が、迅速な効果発現のため、第一選択治療として推奨されています。
- 通常、静脈投与で開始し、その後に高用量の経口プレドニゾロンが用いられます。
- 併用療法: グルココルチコイドは通常、他の免疫抑制剤と併用されます。
- SScにおける注意:
- SScにおけるRP-ILDは稀ですが、MCTDや他のオーバーラップ症候群を伴う場合があります。
- SScでは、グルココルチコイドの使用は一般的に強く推奨されません(強皮症腎クリーゼのリスクがあるため)。
- ただし、RP-ILDでの生命の危険がある場合には、治療が必要とされる可能性があります。パネルではこの点について合意が得られませんでした。
- 推奨される対応: SScのRP-ILDにおいては、個別化されたアプローチが必要です。
RP-ILDでは、第一選択治療として推奨され、実臨床ではとてもお世話になる治療ですね。
しかし、SScではリスクと利益を慎重に評価し、ケースごとに対応が必要です。
RTX、CYP、IVIG、MMF、CNI、JAKi
第一選択の治療オプションとして、条件付きで推奨
リツキシマブ(RTX)
- RECITAL試験の結果: RTXとCYPを、重症・進行性のIIM-ILD、SSc-ILD、MCTD-ILDで比較した結果:
- 死亡率およびFVCは両群で同等でした。
- CYP群では、消化器系および神経系の副作用がより多く報告されました。
- 両群とも治療中止率は同程度でした。
- RTXの特徴:
- 効果が現れるまでに数か月かかるものの、効果の発現はCYPより早く始まります。
- 感染リスクが懸念されており、RTXの免疫抑制効果は約6か月持続するのに対し、CYPでは1か月程度です。
- RP-ILDにおける推奨: RTXは、以下の薬剤よりも条件付きで推奨されています:
- MMF
- AZP
- CNIs
- JAKi
RP-ILDにおいて、効果の発現が早いことや、CYPと同等の有効性を示しつつ副作用が少ないため、条件付きで優先される治療法とされています。
ただし、感染リスクには注意が必要です。
ステロイドパルスとの併用で考慮される感じでしょうか
シクロホスファミド(CYP)
- 投与方法の選好: パネルは、経口よりも静脈内投与の方が望ましいと判断しました。
- 推奨順位: CYPは以下の治療法より条件付きで優先されています:
- MMF
- AZP
- CYP vs RTX:
- 抗MDA5抗体陽性例では、RTXがCYPより優先されます。
- 他の疾患では、CYPとRTXの優劣について合意は得られませんでした。
- 患者パネルの意見:
- 生命の危機に関わる場合、患者パネルは重大な副作用を受け入れる意向を示しました。
- ただし、不妊など特定の懸念事項は患者ごとに大きく異なるため、リスクに関する明確な説明が重要とされています。
RP-ILDにおいて、生命を脅かす状況で優先される治療法です。投与法や患者個別の懸念を考慮し、リスクを十分に説明した上で使用する必要があります。
これも、ステロイドパルスとの併用で考慮される感じでしょうか。
IVIG
- 使用状況: パネルメンバーは、メチルプレドニゾロンパルス療法と併用する形でIVIGを使用しています。
- 感染リスクの低さが特に重症患者や気管挿管中の患者において重要視されています。
- 制約:
- 供給が限られている。
- コストが高い。
- 明確な臨床的必要性がない限り、長期使用は推奨されない。
- 他の治療との比較:
- パネルは、IVIGよりも、RTXおよびCYPを条件付きで優先するとしています。
- ただし、感染リスクが特に懸念される場合には、初期治療としてIVIGが使用されることがあります。
RP-ILDにおいて、感染リスクが懸念される場合に考慮されるかもしれません。必要に応じてRTXやCYPが優先されるかも??
ミコフェノール酸モフェチル(MMF)
- エビデンス: ランダム化試験から得られたエビデンスは確実性が非常に低いものの、臨床経験と薬剤の忍容性を考慮して推奨されています。
- 推奨理由: SARD-ILD(膠原病関連ILD)においてMMFが比較的安全で忍容性が高いことから、RP-ILDでも使用が推奨されています。
RP-ILDにおいて、エビデンスの限界があるものの、安全性と使用経験から、RP-ILDにおける治療オプションとして推奨されています。
これまたステロイドパルスとの併用で考慮される感じでしょうか。
カルシニューリン阻害薬(CNI)
- 使用の増加: タクロリムス(TAC)は、観察研究によりIIM-ILDでの生存率改善が示唆されており、IIMのRP-ILDでも使用が増えています。
- 推奨順位: パネルは以下の順序で条件付き推奨を示しました:
- RTX
- CYP
- MMF
- CNIs(TACを含む)
- AZPよりはTACが優先されます。
- 特定の状況での使用:
一部のパネルメンバーは、抗MDA5抗体陽性例のRP-ILDにおいて、MMFよりもTACを優先する可能性があるとしています。
IIMのRP-ILDや抗MDA5抗体陽性例のRP-ILDで有効性が期待される治療法です。
RTXやCYPが優先される一方で、AZPより条件付きで推奨されています。
これまたステロイドパルスとの併用で考慮される感じでしょうか。
JAK阻害剤(JAKi)
観察データでは、抗MDA5陽性例のILD(ただしRP-ILDではない)において、JAKiが一定の効果を示す可能性が示唆されています。
また、難治性症例では、他の治療にJAKiを追加することで一定の効果が得られる可能性があります。
- 推奨順位: パネルは、以下の治療法をJAKiより条件付きで優先しました:
- CYP
- RTX
- MMF
- 制約: データと臨床経験が限られているため、JAKiは他の治療法に比べて推奨順位が低くなっています。
JAKiは、抗MDA5抗体陽性例や難治性症例で有効性が示唆されていますが、データが限定的なため、CYPやRTXなどの治療法が優先されます。
MTX、レフルノミド、AZP、TNF阻害剤、アバタセプト、トシリズマブ、ニンテダニブ、ピルフェニドン、血漿交換
第一選択治療として、条件付きで反対
- AZP: RP-ILDでは、AZPの使用を支持するエビデンスも臨床経験もないため、通常は使用されません。
- 血漿交換療法:
- 観察データによれば、以下の効果が示唆されています:
- 抗体の減少
- 酸素交換の改善
- 生存率の向上
- しかし、以下の問題が挙げられます:
- コストが高い
- 専門施設でのみ実施可能なため、利用可能性が限られている
- 使用の位置づけ: 血漿交換療法は、第一選択治療ではなく、救済療法として限定的に使用されます。
- 注意事項: 血漿交換療法を行う際は、RTXやIVIGの除去を避ける配慮が必要です。
- 観察データによれば、以下の効果が示唆されています:
AZPはRP-ILDでは推奨されず、血漿交換療法は救済療法として検討されるものの、コストや施設の制限が課題となっています。MTXやレフルノミド、TNF阻害剤、アバタセプト、トシリズマブ、ニンテダニブ、ピルフェニドンに関してはエビデンスがありません。
単剤療法と初期多剤併用療法どちらがよい?
第一選択治療として多剤併用療法を条件付きで推奨
抗MDA5抗体が陽性または疑われる場合は3剤併用療法、確認されない場合は2または3剤併用療法
- 併用療法の効果:
- 抗MDA5抗体陽性例では、CYP+TAC+グルココルチコイドの併用が、段階的治療よりも生存率を改善したとされています。
- 別の研究では、標準的な免疫抑制治療にIVIGを追加した場合、全死亡率が低下したことが報告されています。
- 推奨される初期併用療法:
初期治療では、グルココルチコイドに加え、以下のいずれか1~2剤の併用:- RTX
- CYP
- IVIG
- TAC
- MMF
- JAKi
- 治療選択のポイント:
- 疾患の重症度
- 抗MDA5抗体が陽性または疑われるかどうか
- 感染リスク
- その他の治療:
- 治療反応が不十分な場合には、追加の薬剤を考慮します。
- 血漿交換療法は、難治性症例の併用療法として検討されますが、データが限られています。
今回のガイドラインで言及されているRP-ILDは、一般的に知られているILDの急性増悪(慢性経過中の急性悪化)とは異なるニュアンスで記載されています。このRP-ILDは、いきなり急性発症するILDを指しているように解釈されます。
この点が、このガイドラインの悩ましい部分でもあります。例えば、IPFの急性増悪では、CYPを併用した治療が生存率の改善に繋がらないことが示されています。一方で、このガイドラインのRP-ILDは膠原病ILDを対象としており、さらに新規の急性発症ILDを指していると考えられます。
そのため、治療戦略を考える際には、IPFの急性増悪との違いを十分に認識し、対象疾患や病態に基づいて慎重に対応する必要があります。
最適な内科的治療よりも幹細胞移植(SCT)へ紹介するほうがよい?
第一選択治療として、条件付きで反対
- エビデンス:
RP-ILDに対するSCTは、3つの試験から間接的なエビデンスが得られていますが、十分なデータではありません。 - 懸念事項:
- 患者のSCT耐容性について、投票パネルは懸念を示しました。RP-ILDは重篤な病態であり、患者がSCTを安全に受けられるかどうかが課題とされています。
RP-ILDに対するSCTは可能性があるものの、エビデンスが限定的であり、患者の耐容性が大きな課題です。慎重な判断が必要です。本邦での実臨床ではなかなか難しいでしょうね。
最適な内科的治療後の進行を待たずに、早期の肺移植を紹介するほうがよい?
条件付きで推奨
- 移植の機会と準備:
肺移植の実施可能な機会は限られており、移植前評価に時間がかかるため、早めの対応が必要です。 - 治療選択への影響:
医学的治療の選択肢は、患者が肺移植の候補となるかどうかに左右される場合があります。 - 重症度の指標:
高流量酸素の必要性は重症度を示すマーカーであり、移植センターへの転送が必要な目安となります。 - 早期紹介の重要性:
患者が地元から離れていても、早期に肺移植センターへの紹介を行うことが推奨されます。 - 患者パネルの意見:
患者パネルは、命を救う可能性がある治療法を求めて遠方への移動も受け入れる意向を示しました。
肺移植は生命を救うための重要な選択肢であり、早期の移植センター紹介が患者の生存に直結します。高流量酸素が必要な患者では、早急な対応が特に重要です。しかし、本邦では移植までのハードルが高く、待期期間も長いため、RP-ILDに対しては現実的な選択肢ではないように思われました。
まとめ
- 今回のガイドライン全体を通じて、日本の医療現場の実状とは異なる部分が多いという印象を受けました。そのため、内容を参考にする際には慎重に検討し、特に保険適用の観点を考慮する必要があると感じます。
- また、IPFの治療戦略と同様に、場合によっては肺移植を視野に入れて治療方針を検討する症例があることも重要なポイントだと思います。肺移植が選択肢となる患者さんに対しては、早期の判断と対応が求められるでしょう。
- 今回の内容は、膠原病ILDに対する治療全体像を把握する上で非常に重要だと感じました。しかし、さらに深掘りして、個別疾患の特徴や病態、適切な治療タイミングについて考察を進めていく必要があると考えます。
- 幸い、今後日本でも膠原病ILDの治療指針やガイドラインが作成される予定と聞いています。それらの内容も参考にしながら、日本の実情に合った最善の治療を患者さんに提供できるよう、引き続き学びを深めていきたいと思います。
概要については前回の記事で紹介していますのでご参照ください。→<こちら>
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