救急外来。
39歳女性。 発熱、咳、呼吸困難。
指導医「ん~、また肺炎~?次は…… C先生!ファーストタッチ頼んだぞ!」
研修医C「は、はいぃ〜!!」
—— 数分後 ——
研修医C「せ、先生ぃ! 加湿器が原因の… か、過敏性肺炎だと思いますぅ~!」
指導医「え~?いきなり加湿器??」
研修医C「はいぃ〜!CTが決め手ですぅ。
両肺に広がる……、 淡い粒状・すりガラス状陰影がありますぅ。
し、しかも気管支に沿った分布……。 そして、過膨張っぽい所見もありますぅ!
この所見は”吸入が原因の肺炎”… 特に…過敏性肺炎を強く疑いますぅ~!
この特徴的なCT画像、美しいですぅ!
だから患者さんに聞いたんですぅ…。
去年おしゃれな加湿器を買ったそうですぅ。
でも、全然洗ってないそうですぅ…。
今回、その加湿器を使い始めたら… こうなったそうですぅ~!!」
(ドヤ顔)
—— そして入院検査 ——
その加湿器での環境誘発試験が…
なんと… 陽性
指導医「画像マニアだったか!!」
解説
過敏性肺炎(HP)とは、 吸い込んだ物質(抗原)に対して免疫が過剰に反応し、肺で炎症が起きる病気です。 (アレルギー主体です。感染症ではありません。)
HPは炎症が主体の「非線維性HP」と、 慢性・線維化が主体になる「線維性HP」に分かれます。
症状は、 発熱・咳・呼吸困難などで、重度では呼吸不全に至ることもあります。
繰り返すと慢性化し、線維性HPに進展する場合があり、進行すると命に関わる可能性があることにも注意が必要です。
HPの原因、
- 加湿器
- 羽毛(羽毛布団など)
- 有機肥料、堆肥
- カビの生えた家屋
- エアコン、換気設備
- その他
今回の症例の加湿器肺は、 このHPの一種で、加湿器内で繁殖した カビや細菌、その成分がミストとなって舞い、それを吸い込むことで起こるHPです。
日本で売られている加湿器には、 ・スチーム式 ・超音波式 ・気化式 ・ハイブリッド式 などがありますが、 特に注意したいのは超音波式と気化式です。
これらは水を加熱しないため、カビや細菌が繁殖しやすく、そのままミストとして飛びやすい性質があります。
「久しぶりに使い始めた」
「ほとんど掃除していない」
この組み合わせは特にリスクが高いです。
必ず定期的に加湿器を掃除しましょう。
HPの治療は、
原因抗原を特定して除去または回避することが基本です。
軽症〜中等症ではこれだけで改善することが多いですが、重症例では、ステロイドなどを検討することがあります。
画像:
胸部CTは「足側から見上げるビュー」なので、画像の左側=患者さんの右肺、右側=患者さんの左肺 になります。(スライド参照)
HPでよく見られる所見は、
- 両肺びまん性のすりガラス影
- 小葉中心性粒状影
- 気管支に沿った分布
- 過膨張所見
などです。(詳細はスライド参照)
今回の症例では、C先生は実はかなりの CT画像マニア で、読影マニュアルなどの参考書を熟読していました。
そのため、HPの特徴的なCT所見を見ただけで想起し、適確な問診につなげて診断に至ったのはお見事です。
HPの特徴的な画像所見は、呼吸器内科医や放射線科医が見て「こ、これは!」 とすぐ気づくほど有名です。
C先生も研修医ながらその領域に近づいていたのはすごかったですね!
本症例は、『典型的な画像所見を知ること』『画像から病態を想起し、診断につなげること』の重要性を伝えることを目的としています。
今回のエピソードは過去の実例を基に再現したもので、掲載している匿名画像は Radiopaediaから引用しています。 繰り返しになりますが、冬場は加湿器(エアコンも含め)を必ず定期的に清掃しましょう。

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