学び系間質性肺疾患関連

若年者の進行性呼吸器疾患に対する肺移植の意義と早期検討の重要性

一般的に、呼吸器疾患は高齢者に多いと認識されていますが、間質性肺疾患、肺高血圧症、肺サルコイドーシス、肺リンパ脈管筋腫症などの疾患は20~60歳の若年者にも少なくありません。

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これらの疾患が進行すると、薬物治療のみでは十分な病状の改善が得られず、肺移植が必要となることがあります。 移植を受けられない場合、極めて予後不良となる可能性が高いことも認識すべきです。

日本における肺移植の適応年齢は、両肺移植が55歳未満、片肺移植が60歳未満とされていますが、これは登録時の年齢制限であり、年齢を超えても移植が不可能になるわけではありません。 しかし、登録から移植までの待機期間は”900~1000日”(長い!!)と長期に及ぶため、疾患が進行してから移植を検討すると、間に合わない可能性が高いのが現状です。

一方で、呼吸器内科では高齢者の患者が多いため、若年者であっても肺移植が治療の選択肢として検討されにくい傾向があります。 そのため、特に20~50歳台の患者を診る際には、意識的に視点を切り替え、肺移植の可能性を常に念頭に置くことが重要です。

また、病状が安定している患者や症状が軽い患者、さらにはそのご家族に肺移植の話をしても、「まだ大丈夫」と先延ばしにするケースが多いのが実情です。 しかし、進行性の疾患では長期的なリスクを考慮し、早期に肺移植の可能性を説明し、患者の理解を得ることが不可欠です。

私は、なるべく早い段階で肺移植が可能な施設へ相談し、適応がある場合には早期に移植登録を進めることを提案しています。 また、希望する患者には適切な情報提供を行い、肺移植の選択肢があることを伝えるとともに、必要に応じて移植施設への紹介を行うことが極めて重要だと考えます。

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