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間質性肺疾患いろいろ解説深掘り

🫁 呼吸器内科TIPS|ニンテダニブによる頑固な下痢に…「イリボー®」という選択肢?

ニンテダニブ(オフェブ®)は、特発性肺線維症(IPF)や進行性線維化を伴うILD(PF-ILD)に対する重要な抗線維化薬ですが、最も頻度の高い副作用は「下痢」です。

INPULSIS試験やINBUILD試験では60%以上の患者が下痢を経験し、そのうちの約3割が用量調整や中止を余儀なくされることも報告されています。

Arai et al. Two cases of nintedanib-induced diarrhoea treated using a 5-hydroxytryptamine type 3 receptor antagonist. ERJ Open Res 2022

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💩 ロペラミドでも効かない…そんなときに?

多くの症例ではロペラミドや整腸剤、場合によってはコデインなどで対応しますが、それでもコントロールが難しいケースも存在します。

そんな中、近畿中央呼吸器センターの新井徹先生らが2022年に報告した症例報告(ERJ Open Research)では、難治性のニンテダニブ関連下痢に対し「ラモセトロン(イリボー®)」が奏効した2例が紹介されています。


✅ イリボー®は下痢型の過敏性腸症候群に使われる薬

ラモセトロンは、過敏性腸症候群(IBS)のうち、下痢型(IBS-D)に適応がある5-HT₃受容体拮抗薬です。

報告された2例では、いずれもIBS様の症状を呈しており、消化器内科や精神科の評価を受けた上でIBS-Dに準じた治療としてラモセトロンを導入。導入1〜3日で症状の著明な改善が得られました。


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⚠ 保険適応上の注意点

イリボー®の保険適応は「IBS-D」であるため、使用にあたっては以下の点に注意が必要です:

  • 他の器質的疾患(IBD・悪性腫瘍など)を除外すること
  • IBS-Dの診断基準(例:Rome IV)を満たしていること

このあたりは消化器内科との連携を視野に入れながら、保険適応に留意して慎重に判断することが求められます。


✍ 使用経験から得られたポイント(報告より)

  • 効果発現は早く、1〜3日で改善
  • ロペラミドを中止または大幅減量できた
  • 便形状も改善(BSFSスケールで正常化)
  • 副作用としての便秘の発現は少なめ

🎯 まとめ

ニンテダニブによる下痢はQOLを著しく低下させ、治療継続の障害になることがあります。
標準的な対処法で難治の場合、「IBS-D相当の症状」としてイリボー®を検討する価値があります。

臨床では、保険適応とエビデンスに基づいた慎重な使用が求められますが、選択肢の一つとして頭に入れておくと、困ったときに活きるかもしれませんね。


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