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論文の書き方いろいろ解説

🩺後ろ向き研究アイデアの広げ方 ~PICOを工夫して“新しいテーマ”を見つける~

今回は、後ろ向き研究に使えるPICOアイデアを紹介したいと思います!

日々の診療データや電子カルテを活かして、
「ありそうでなかった」テーマを掘り起こすコツを、
できるだけわかりやすく整理しました。
研修医、専攻医、学生さんにもおすすめの内容です!

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🔵まずは基本パターンを押さえよう【後ろ向きPICOアイデア集】

後ろ向き研究に向いているテーマは、
「カルテ・検査データ・画像情報」でアウトカムが拾えるもの。

以下は、ざっくりとした例になります。
(※適当に考えたものになります。実際は、自分が日常に感じている、あるいは思いついたクリニカルクエスチョンに応じて変更してください。)

#Patient(対象)Intervention(介入)Comparator(比較)Outcome(アウトカム)
1IPF患者高用量PPI内服ありPPIなし1年以内の急性増悪発生率
2COPD増悪で入院した患者退院前ワクチン接種あり接種なし90日以内の再入院率
3中等症喘息患者血中好酸球高値(≥300/μL)低値(<300/μL)1年以内の重症増悪回数
4MAC肺症治療患者クラリスロマイシン耐性化あり耐性化なし12か月培養陰性化失敗率
5EGFR陽性肺癌患者初診30日以内に緩和ケア介入あり介入なし終末期ER受診回数
6市中肺炎CAP患者抗菌薬7日以内で治療終了抗菌薬14日以上継続在院日数
7急性肺塞栓症患者DOAC使用ワルファリン使用6か月以内の大出血発生率

などなど…


🧠さらに一歩進める!「ありきたり」に見えるテーマを“新しい研究”に育てるコツ

実は、
すでに報告されたPICOテーマでも、工夫次第で新しい価値が生まれます。

ポイントは3つ!

① P(患者集団)を変える

  • 年齢、重症度、併存症で層別化する
  • たとえば「IPF全体」ではなく「75歳以上+FVC低下例」に絞る

② 先行研究の限界(リミテーション)を補う

  • 「単施設」「短期フォロー」など先行論文の弱点を埋める
  • たとえ急性増悪後「90日生存」のような短期アウトカムだけだったものを「長期的な生存率」に伸ばす

③ PICOのどこかを少しずらす

  • I(介入)を変える/C(比較)を変える/O(アウトカム)を変える
  • たとえば「抗菌薬の種類比較」ではなく「治療期間(7日 vs 14日)」の比較にずらす

こうすることで、同じようなテーマでも、まったく新しい意義が生まれます!


💡具体例|「ずらして」作る後ろ向き研究アイデア

新しいPICO案ここが工夫ポイント!
進行期IPF患者における「A治療 vs B治療」での1年死亡率比較⇒ 重症例(FVC<50%)はこれまで除外されてきた層
高齢者CAPにおける「抗菌薬7日コース vs 14日コース」での90日再入院比較⇒ 高齢者に特化した短期療法データは不足している
心不全合併COPD患者における「BNPガイド利尿調整 vs 標準治療」での6か月死亡・再入院率⇒ 心不全を意識したCOPD管理戦略は未検証

📚まとめ|後ろ向き研究テーマは「小さなずらし」で無限に広がる

  • 「患者層を絞る」「PICOを少し変える」だけで新しい価値が生まれる
  • まずは電子カルテで取れるアウトカムを選んで、小さく始めよう
  • いいデータが取れたら、次は前向き研究や多施設研究にも広げられる!

別記事1:【疾患別PICO具体例集】<こちら

別記事2:臨床研究のアイデアの出し方のコツ ~日常診療から研究アイデアを生むための5ステップ~<こちら

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