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症例クイズ11 71歳男性 微熱、咳嗽、倦怠感など。

呼吸器症例クイズ!
Xで症例クイズ出していましたが、これからブログの方にも載せていこうと思います。

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症例提示

外来。近医から紹介。
71歳男性、微熱、咳嗽、倦怠感など。

指導医「(この所見は…!)A先生、ファーストタッチ頼んだぞ!」

専攻医A「は、はいッ!」

——診察と検査——(スライド)

画像

専攻医A「せ、先生っ! 大変です! “アレ”かもしれません!」

指導医「そうか!どこに注目する?」

専攻医A「しびれが気になりました。他には身体所見の〇〇と、検査の△△と▢▢です。」

指導医「精査どうする?」

専攻医A「は、はいッ!ぜひ、オレにやらせて下さいッ!」

・・・・・・
指導医「さて、ここで問題です。」

“アレ”の正体は?(病態は?)診断のための検査の優先順位は?

問1.“アレ”の正体はなんだろう?(本疾患の病態は?)
あなたはどう考える?

  1. 心原生の肺水腫
  2. 間質性肺疾患の急性増悪
  3. 肺胞出血
  4. ニューモシスティス肺炎などの日和見感染

問2.背景に隠れている疾患の診断のために優先順位が最も低いのはどれ?
あなたならどうする?

  1. 自己抗体の測定
  2. 腎生検
  3. クライオ肺生検
  4. 気管支肺胞洗浄

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解説1

🫁 指導医「2026/2 症例クイズ 解答・解説です」
※ まだ問題を解いていない方は、先に症例スライドをご覧ください。

問1.“アレ”の正体は何か?
(この症例で考えるべき病態は?)

📌症例の整理:
微熱・乾性咳嗽・倦怠感・労作時呼吸困難を主訴に紹介された 71 歳男性です。
胸部画像では 両側性の浸潤影を認め、CRP も高値であることから、まずは感染症としての肺炎を疑う状況です。
しかし、抗菌薬に反応がなく、臨床経過からは単純な細菌性肺炎のみでは説明しにくい点が目立ちます。
この段階では、各種微生物学的検査を行いながら、必要に応じて抗菌薬の再検討を行うのが一般的ですが、本症例ではそれだけでは割り切れない違和感があります。
そこで、感染症にとらわれすぎず、もう一段視野を広げて病態を考えていきたいと思います。

画像

📌画像所見の鑑別:
CTでは、両側性にすりガラス影および浸潤影が、肺門部から気道に沿って分布しています。この分布・パターンから、以下が鑑別に挙がります。

・肺炎
・肺水腫系(心不全、ARDS)
・肺胞出血
・薬剤性肺障害

一部Crazy paving様とも表現でき、背景に免疫不全があればPneumocystis肺炎(PCP)も鑑別に入ります。

ただし、
・心エコーに明らかな異常はなく、浮腫なども含め心不全を示唆する所見に乏しい

・リンパ球数は保たれており、明らかな免疫不全を示す情報はない

・慢性線維化所見はなく、間質性肺疾患(ILD)の急性増悪の定義は満たさない

以上より、肺水腫・PCP・ILD急性増悪の可能性はいずれも高くはないと考えられます。

📌画像以外の重要所見:
ここで、臨床経過と検査所見に注目します。

・数か月前は腎機能正常
→ 今回 Cre 2.1 mg/dL とな腎機能悪化
・尿蛋白陽性、尿潜血強陽性
・紫斑の存在
・両下腿しびれ感(末梢神経障害示唆)

これらを総合すると、血管炎、特に 顕微鏡的多発血管炎(MPA)が強く疑われます。
MPAの詳細については次のページのスライド参照して下さい。

MPA の肺病変として代表的なのは、以下です。
・肺胞出血
・ILD(およびILDの急性増悪)
・気道病変

本症例では線維化所見はなく、ILD よりも画像所見や貧血の進行を合わせて考えると、肺胞出血が示唆されます。肺胞出血では血痰を伴わないことも少なくなく、血痰がないからといって肺胞出血を否定することはできません。

📌問1の答え
本症例で最も考えやすい病態は「肺胞出血」と思われます。

しかし感染症の除外も必要です。

解説2

問2.診断のために優先順位が最も低いのはどれ?

📌診断戦略の整理:
MPAの診断では、以下が重要です。

・MPO-ANCA などの自己抗体
・腎、肺、皮膚などの主要臓器障害
・病理学的な血管炎を証明

画像

本症例では、
・腎障害があり → 腎生検で所見得られそう
・肺胞出血が疑われる → 気管支肺胞洗浄(BAL)により、血性の回収液(いわゆる 赤BAL)が得られれば支持

つまり、これらの検査は診断的優先度が比較的高いと思われます

(尚、本症例ではスライドのように赤BAL所見が得られました。)

画像

📌クライオ肺生検は?
肺病変の評価に有用な検査ですが、出血や気胸といった合併症のリスクを伴います。
本症例のようにすでに肺胞出血が疑われる状況では、実施には慎重にならざるを得ません。
また、肺組織から血管炎そのものを証明することは一般に困難とされており、侵襲を加えても診断に直結しない可能性があります。
これらの侵襲性とリスク、診断的有用性を総合的に考慮すると、本症例における MPA 診断の優先順位は高くないと考えられます。

📌問2の答え:
最も優先順位が低い検査は「クライオ肺生検」であると私は思います。


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