呼吸器症例クイズ!
Xで症例クイズ出していましたが、これからブログの方にも載せていこうと思います。
症例提示
いろいろな診療科で遭遇する可能性のある疾患!
67歳女性
主訴:発熱、呼吸困難
詳細はスライド参照してね

①最も鑑別の上位に挙がる背景疾患は?
- 特発性肺線維症
- 関節リウマチ
- 顕微鏡的多発血管炎
- 多発血管炎性肉芽腫症
②現時点で併存が最も疑われる呼吸器病態はどれ?
- 細菌性肺炎
- 間質性肺疾患の急性増悪
- 肺胞出血
- 浸潤性粘液性腺癌
解説

① 最も鑑別の上位に挙がる背景疾患は?
本症例では、これまで二次性ILDを示す所見はなく、「特発性間質性肺炎(分類不能)」として経過観察されていました。
しかし、今回新たに腎機能障害、尿蛋白・尿潜血陽性、さらに両下腿の皮疹(紫斑)が出現しています。
スライドにも示したように、ILDに腎障害や皮膚病変を合併する場合、顕微鏡的多発血管炎(MPA)が強く疑われます。
本症例では、自己抗体を再検した結果、以前は陰性だったMPO-ANCAが陽転化し、厚労省の診断基準を満たしたためMPAと診断されました。
MPAでは初期にはANCAが陰性でも経過中に陽転化し、その後に血管炎症状が発症することがあります。
答え:顕微鏡的多発血管炎(MPA)

② 現時点で併存が最も疑われる呼吸器病態はどれ?
ここは実臨床でもしばしば判断に迷うところです。
MPAではILDの有無にかかわらず肺胞出血(DAH)をきたすことがあり、CTでは両側びまん性すりガラス影や浸潤影として描出されます。
血痰があれば診断の助けになりますが、必ずしも認められるとは限りません。
しかし、貧血の進行が重要な手がかりとなることがあります。
確定診断には、気管支肺胞洗浄(BAL)で血性(いわゆる”赤BAL”)の確認が必須です。
一方、MPA-ILDも他のILD同様に急性増悪(AE)を起こすことがあります。
こちらも画像上は両側びまん性すりガラス影を呈し、DAHと類似しているため、画像のみでの鑑別は困難です。
BALが鑑別に有用ですが、重症例では施行困難で、実臨床ではDAHとAEの判断に苦慮する症例も少なくありません。
臨床的には、血痰や貧血が明らかならDAH、目立たなければAEを示唆すると判断されることがありますが、施設間で差があります。
本症例ではその後の気管支鏡検査で”赤BAL”を認めたためDAHと診断されました。
ただし、症例によってはAEとの鑑別が難しいことが想定されます。
答え:肺胞出血(DAH)、または間質性肺疾患の急性増悪(AE)

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