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症例クイズ6 71歳女性 主訴:乾性咳嗽、労作時呼吸困難

呼吸器症例クイズ!
Xで症例クイズ出していましたが、これからブログの方にも載せていこうと思います。

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症例提示

71歳女性 主訴:乾性咳嗽、労作時呼吸困難

詳細は…スライド参照してください。

問1. 最も鑑別の上位に挙がる疾患は?

問2. あなたならどんな検査を行って確定診断する?

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問1. 最も鑑別の上位に挙がる背景疾患は?

  1. 特発性肺線維症(IPF)
  2. 線維性過敏性肺炎(fHP)
  3. 関節リウマチに合併した間質性肺疾患(RA-ILD)
  4. 特発性非特異性間質性肺炎(NSIP)

問2. あなたなら現在の臨床・画像所見に加えてどんな方針で診断していく?

<追加情報> 努力肺活量(FVC):1.33L(61.4%) 一秒量(FEV1):1.15L、一秒率 88.7% %DLCO:48%

  1. 外科的肺生検(SLB)のみ追加
  2. クライオ生検(TBLC)のみ追加
  3. 環境調査のみ追加
  4. SLBまたはTBLCを行い、環境調査も行う
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解説

問1.最も鑑別の上位に挙がる疾患は?

ILD診断において重要なのは、明らかな原因を有する二次性か、原因不明の特発性間質性肺炎(IIPs)かを見極めること、ならびに胸部HRCT所見の評価です。

2022年の国内手引きでは原因疾患の検索がフローチャートの上位に位置付けられていましたが、2025年のERS/ATSステートメントでは画像パターンの評価がより上位に示されているように見受けられます。
この点については今後整理されていくと考えられますが、実臨床においては原因検索とHRCT評価の双方が不可欠である点に変わりはありません。

今回の症例は、間質性肺疾患(ILD)の診断プロセスにおいて判断に迷いやすいポイントを含んでおり、実臨床においても非常に重要な症例です。

画像所見、曝露歴、BAL所見をどのように統合して診断に至るかが問われる内容であり、日常診療に直結する学びの多いケースと考えられます。

問1. 最も鑑別の上位に挙がる疾患は?

本症例は数年の経過で進行しており、胸部CTではびまん性網状影などの線維化所見を認め、KL-6およびSP-Dが高値を示しています。以上より、慢性経過の間質性肺疾患(ILD)が考えられます。

本症例では、リウマトイド因子が軽度高値ではありますが、膠原病や血管炎を示唆する身体所見や特異的自己抗体は認められていません。

一方で、インコの長期飼育歴や羽毛布団の使用歴があり、これらを有意な抗原曝露と判断した場合、鳥関連の過敏性肺炎(HP)が鑑別に挙がります。

次にHRCT所見についてです。

線維化所見を基盤としつつ、その分布はびまん性で多彩です。蜂巣肺や牽引性気管支拡張を認め、UIPパターンのフレームワークは示唆されます。

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しかし、スライドに示すように気道病変やモザイク状陰影を伴っており、UIPとしては Alternative diagnosis に相当する所見が含まれています。そのため、IPF以外の病態も鑑別に挙げる必要があります。

この画像パターンは、2025年ERS/ATSステートメントにおいて示されているBIPパターンに相当します。原因不明であれば特発性BIP、原因が明らかであれば二次性BIPとなります。

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本症例では鳥関連抗原への曝露歴があることから、鳥関連の線維性過敏性肺炎(fHP)が鑑別として最も重要と考えられます。HPのHRCTパターンとしても、本症例は Typical HP pattern に合致しています。

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さらに重要な所見として、気管支肺胞洗浄(BAL)ではリンパ球分画が23%と高値を示しています。 以上をHP診断アルゴリズムに当てはめますと、 HRCTはTypical pattern、抗原曝露歴あり、BALリンパ球増多あり、となり、病理検査を行わずとも高確信度の線維性HPと診断可能です。

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したがって、現時点での鑑別診断の最上位は線維性過敏性肺炎(fHP)と考えられます。

答え:線維性過敏性肺炎(fHP)

なお、IPFについては、喫煙歴のない女性という臨床背景に加え、HRCTおよびBAL所見から可能性は低いと考えられます。

また、関節リウマチを示唆する明確な臨床所見に乏しいため、RA-ILDの可能性も低下します。

特発性NSIPについては完全には否定できませんが、これまでの臨床・画像・検査所見を総合すると、鑑別上の優先度は低いと判断されます。

問2. あなたなら現在の臨床・画像所見に加えてどんな方針で診断していく?

<追加情報> 努力肺活量(FVC):1.33L(61.4%) 一秒量(FEV1):1.15L、一秒率 88.7% %DLCO:48%

本症例は、HP診断アルゴリズム上、高確信度に近い状態にありますが、診断の重要な根拠となる抗原曝露歴の確からしさをさらに高めるため、詳細な環境調査が重要と考えられます。

本症例では、現在インコの飼育は行われていませんでしたが、過去に使用されていた鳥小屋が残存しており、また近隣にはハトや野鳥が頻繁に飛来する環境でした。

さらに、ImmunoCAPによる鳥特異的IgG抗体検査も陽性かつ高値を示しており、抗原曝露を支持する所見が得られました。

外科的肺生検(SLB)については、
呼吸機能低下(FVC低値およびDLCO低下)により全身麻酔のリスクが高いこと、加えて臨床・画像・BAL所見から診断確信度が十分に高まっていることを踏まえると、本症例では必須とは考えにくいです。そのため、当施設ではこのような症例に対して積極的に施行していません。

クライオ生検(TBLC)についても慎重な判断が必要です。
本症例では左右差が強く、特に左肺の収縮が著明であり、左下葉では高度な線維化のため、適切な検体が得られない可能性があります。 一方で、比較的保たれている右肺で生検を行った場合、気胸や出血などの合併症により、良好な肺機能を有する側を障害するリスクがあり、検査後の重症化につながる可能性があります。

以上より、施設方針や患者背景によって判断は分かれますが、環境調査を徹底した上で、生検を行わない方針、 あるいはSLBまたはTBLCを慎重に検討しつつ、並行して環境調査を行う方針、のいずれかが妥当と考えられます。

答え:「環境調査のみ追加」または「SLBまたはTBLCを行い、環境調査も行う」のどちらか


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