学び系

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【研修医・医療職一般・患者さん向け】パルスオキシメーターでSpO₂が低く出る原因

今日は、臨床でよく使う パルスオキシメーター(SpO₂測定) についてお話しします。患者さんに 重症感がないのにSpO₂が低く表示される ことがあり、「あれ?低酸素かも!?」と焦ることがありますよね。しかし、実は 測定誤差 が原因のことも少なくありません。今回の内容は、特に 看護師さんや研修医の皆さんにおすすめ ですが、これから医療職を目指す学生さんや 患者さん自身にとっても重要な情報 です。ぜひ、臨床の場で役立ててください!まず、パルスオキシメータって何のために使うの?✅ 動脈血の酸素飽和度(SpO₂)を測定する!✅ 低酸素(hypoxia)の早期発見に役立つ!✅ 呼吸状態のモニタリングに必須!📌 具体的な使用シーン低酸素血症のスクリーニング呼吸困難、肺炎、心不全、ショックなどでSpO₂が低下(例:SpO₂ < 90%) していないかチェック!酸素療法の効果判定酸素投与(O₂ 2L, 5Lなど)の前後でSpO₂が改善するか確認!SpO₂ 92-96%を目標に調整する(COPDでは88-92%)。周術期・鎮静時のモニタリング麻酔や鎮静下で低酸素になっていないかをリアルタイムで確認。手術...
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間質性肺疾患(ILD)の診断の流れ

Idiopathic Pulmonary Fibrosis (an Update) and Progressive Pulmonary Fibrosis in Adults: An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2022 May 1;205(9):e18-e47.引用文献間質性肺疾患(ILD)の診断、どこから始める?✅ まず最初に!☑️ 「急性の呼吸不全」や「急速な悪化」がないかをチェック!→ ある場合は迅速な検査&治療が必須!✅ 原因検索!☑️ 二次性?特発性?二次性なら基礎疾患の治療を優先、特発性なら詳細分類へ。✅ HRCTでUIPパターンを評価!☑️ UIP=IPFではない! 他疾患の可能性も慎重に考慮。☑️ UIPやProbable UIP以外なら クライオバイオプシーや外科的肺生検 も選択肢!→ ただし、患者の耐術能を慎重に評価 することが重要。✅ 診断が難しいときは?☑️ MDD(多専門家会議)を活用!複数の専門家で診断精度をUPし、不要な侵...
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論文の書き方

論文のIntroductionはどのように書いたらよい?

「論文のテーマは決まって結果もでた。でもIntroductionをどう書き始めればいいかわからない…」そんな方へ。論文のIntroductionは、単なる背景説明ではなく、論文全体の「伏線」 となる重要なパートです。ここで読者を惹きつけ、スムーズに論文の流れへと導くことが求められます。では、どのように書けばよいのでしょうか?ポイントは イントロ内で起承転結 を意識することです。起:背景(対象疾患など)を簡潔に説明する承:研究のテーマに関連する要素(注目しているイベント、リスク因子、バイオマーカーなど)を導入する転:現時点での課題やギャップを明確にする結:本研究の目的を提示する※ 上級者は“承”と“転”の構成を柔軟に調整してもOK。承で起の補足を行い、転で「テーマに関連する要素」の説明と問題提起を一気に展開する方法もあります。ただし、“起”と“結”は基本的にこの流れを意識して書く と、Introduction全体のバランスが整いやすくなります。これは私の考えであり、他にもさまざまな書き方があると思いますが、論文執筆のヒントとして参考にしていただけると幸いです!論文のIntroductio...
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間質性肺疾患関連

胸部HRCTパターンと病理学的なUIPとの関連性

Idiopathic Pulmonary Fibrosis (an Update) and Progressive Pulmonary Fibrosis in Adults: An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2022 May 1;205(9):e18-e47.引用文献UIP(usual interstitial pneumonia)の放射線学的特徴を解説します!今回は、特発性肺線維症(IPF)の診断に欠かせない高分解能CT(HRCT:high-resolution computed tomography)について解説します。特に、UIPパターンの放射線学的特徴について詳しくお話しします。HRCTで診るUIPの特徴的な所見HRCTを読影するときに、UIPパターンを見つけるポイントは主に以下の2つです。traction bronchiectasis/bronchiolectasis(牽引性気管支拡張/細気管支拡張)honeycombing(蜂巣肺)これら...
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学び系

重篤な疾患での入院患者さんにおける退院支援における多職種連携の重要性

はじめに重篤な病気で入院すると、体力の低下、金銭的負担、家庭環境の変化 など、多くの課題が生じます。そのため、病状が改善したからといって必ずしも自宅退院が容易にできるわけではありません。特に呼吸器疾患の患者では、以下のような病態が問題となり、退院後の生活に大きな影響を与えます。呼吸器疾患治療後の主な課題課題詳細呼吸機能の低下重症肺炎、間質性肺炎、COPD などによる呼吸機能の低下。在宅酸素療法やNPPVが必要になるケースも多い。間質性肺疾患の治療合併症ステロイド治療による筋力低下、糖尿病、易感染性。特に急性増悪や膠原病肺、過敏性肺臓炎の患者で顕著。薬剤性肺傷害ステロイド治療の副作用や、背景となった基礎疾患の治療の遅延により、治療が難航する可能性がある。肺がん治療の副作用化学療法による副作用、進行に伴う悪液質(体重減少・全身衰弱)などが退院後の生活に影響を及ぼす。退院後の環境整備の困難さ体力低下によりADL(日常生活動作)が困難となり、介護の必要性が増す。医療・介護費の負担や住宅改修の必要性も課題。多職種連携の重要性と相互補完の必要性患者の退院後の生活を支えるためには、医療・介護・福祉の...
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間質性肺疾患

ベーリンガー・インゲルハイム社のネランドミラストが、IPFに引き続き、PF-ILDでも第三相試験でFVC低下を抑制したそうです。

ベーリンガーインゲルハイムのネランドミラスト、進行性肺線維症(PPF)/進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)を対象とする第3相FIBRONEER™-ILD試験において主要評価項目を達成和訳リリース, 2025年02月17日引用文献1引用文献2引用文献3ネランドミラスト、第3相FIBRONEER™試験で主要評価項目を達成!2025年2月17日、ベーリンガーインゲルハイムは、開発中の新薬ネランドミラスト(一般名:nerandomilast、開発コード:BI 1015550)が、肺線維症を対象とした第3相臨床試験FIBRONEER™-ILD試験において主要評価項目を達成したと発表しました。本試験は、進行性肺線維症(PPF)および進行性線維化を伴う間質性肺疾患(PF-ILD)の患者さんを対象とし、治療薬としての有効性と安全性を検証するものです。IPFやPPF、PF-ILDは、肺の線維化が進行し、呼吸機能が低下していく疾患群です。PF-ILDやPPFは独立した疾患ではなく、主にIPF以外の間質性肺疾患において線維化が進行する病態の包括的概念といえます。現在、抗線維化薬としてピルフェニド...
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若年者の進行性呼吸器疾患に対する肺移植の意義と早期検討の重要性

引用文献一般的に、呼吸器疾患は高齢者に多いと認識されていますが、間質性肺疾患、肺高血圧症、肺サルコイドーシス、肺リンパ脈管筋腫症などの疾患は20~60歳の若年者にも少なくありません。 これらの疾患が進行すると、薬物治療のみでは十分な病状の改善が得られず、肺移植が必要となることがあります。 移植を受けられない場合、極めて予後不良となる可能性が高いことも認識すべきです。日本における肺移植の適応年齢は、両肺移植が55歳未満、片肺移植が60歳未満とされていますが、これは登録時の年齢制限であり、年齢を超えても移植が不可能になるわけではありません。 しかし、登録から移植までの待機期間は”900~1000日”(長い!!)と長期に及ぶため、疾患が進行してから移植を検討すると、間に合わない可能性が高いのが現状です。一方で、呼吸器内科では高齢者の患者が多いため、若年者であっても肺移植が治療の選択肢として検討されにくい傾向があります。 そのため、特に20~50歳台の患者を診る際には、意識的に視点を切り替え、肺移植の可能性を常に念頭に置くことが重要です。また、病状が安定している患者や症状が軽い患者、さらにはそ...
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間質性肺疾患

<リライト版>間質性肺疾患の急性増悪に対するコルチコステロイド療法: システマティックレビュー(Thorax. 2024)

Corticosteroid therapy for treating acute exacerbation of interstitial lung diseases: a systematic review引用文献まず最初に結論からいうと以下のとおりです。非IPF患者: 高用量ステロイドが生存率の向上と90日死亡率の低下と関連。IPF患者: 高用量ステロイドは有益性が示されず、一部の研究では死亡リスクの増加と関連。早期漸減: 2週間以内に10%以上の減量を行うことで、院内死亡率が低下する可能性。累積投与量: 初月の投与量が多いほどAEの再発率は低下するが、30日以内の再入院率には影響なし。IPFにおける急性増悪(AE)とは?特発性肺線維症(IPF)は、進行性の線維化を特徴とするILD)ですが、その経過は一様ではありません。中でも最も深刻なイベントの一つが、AEです。AEは、基礎となる線維化肺に新たな浸潤影やすりガラス影が出現し、急速に呼吸不全が進行する致死的な状態を指します。発症すると短期間で急激に悪化し、90日以内の死亡率は30~60%に及ぶことが報告されています。AEは予測が困...
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Immortal time bias ってなあに?

臨床研究のデザインにおいて、Immortal time biasは非常に重要な概念です。Immortal time biasは、「不滅の時間」や「不死の時間」バイアスとも呼ばれます。このバイアスがあると、薬の効果が実際よりも良く見えてしまうことがあるんです。この記事では、なるべくわかりやすく説明していきます!ここ数年では、特発性肺線維症(IPF)における抗線維化薬(ピルフェニドンとニンテダニブ)と死亡率に関する後ろ向き研究において、このバイアスが話題に挙がりましたね。<こちら>不死時間とは不死時間とは、ある患者が診断あるいは適格性を満たしてから治療を受けるまでの期間です。IPFを例に挙げると、IPFと診断され、その1年後に抗線維化薬を開始したとすると、この1年間が不死時間です。多くの後ろ向き研究において、この期間中には観察対象のアウトカム(例えば死亡)が発生することはありません。なぜならば、研究デザインの時点で、この期間に観察対象のアウトカムが発生した患者さんは除外されるからです。また、アウトカムが死亡であった場合には、この間は文字通り不死です。つまり、多くの後ろ向き研究では、この期間...
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間質性肺疾患

その②概要の続き<辞書として使って!!>編 アメリカリウマチ学会/アメリカ胸部医師学会による自己免疫性リウマチ疾患に伴う間質性肺疾患の治療ガイドライン(Arthritis Rheumatol. 2024.)

2023 American College of Rheumatology (ACR)/American College of Chest Physicians (CHEST) Guideline for the Treatment of Interstitial Lung Disease in People with Systemic Autoimmune Rheumatic Diseases. Arthritis Rheumatol. 2024. 引用文献はじめに概要については前回の記事で紹介していますのでご参照ください。→<こちら>この記事は日常診療の際に、辞書みたいに使って頂けるとうれしいです。尚、この論文では膠原病ILDをSARD-ILDと表記しています。CTD-ILDと置き換えてもよいでしょう。このガイドラインは、次の3つに焦点を当てています:ILDの第一選択治療治療中でも進行するILD(PF-ILD)への対応急速進行性ILD(RP-ILD)の治療治療法は専門家が複数の選択肢を比較し、「優先されるオプション」と「追加的なオプション」に階層化しています。ただし、どの治療法を使...
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