統計

競合イベント(Competing Events)ってなあに?

競合イベント(Competing Events)は、研究で関心のあるイベントが発生する前に、他のイベント(競合イベント)が発生することで、興味あるイベントが発生不可能になる状況を指します。例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の急性増悪に関心がある場合、患者が急性増悪を経験する前に死亡した場合、その患者では急性増悪の発生を評価できなくなります。これが競合イベントの典型的な例です。なぜ競合イベント...
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統計

一般化可能性(Generalizability)と過適合(overfitting)ってなあに?

臨床研究などである疾患におけるリスク因子を同定するとき(例えば、IPFにおける死亡リスク因子)やバイオマーカーやAI、診断モデルの開発では、「開発(探索)コホート」と「検証コホート」を分けて解析を行うことが一般的です。まず、開発コホートでリスク因子の同定やモデル構築を行い、検証コホートでそれが機能するかどうかを確かめます。その目的は、モデルや結果の一般化可能性を確保し、過適合を防ぐことにあります。...
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統計

開発コホートと検証コホートってなあに?

臨床研究などである疾患におけるリスク因子を同定するとき(例えば、IPFにおける死亡リスク因子)やバイオマーカーやAI、診断モデルの開発では、「開発(探索)コホート」と「検証コホート」を分けて解析を行うことが一般的です。まず、開発コホートでリスク因子の同定やモデル構築を行い、検証コホートでそれが機能するかどうかを確かめます。その目的は、モデルや結果の一般化可能性を確保し、過適合を防ぐことにあります。...
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肺癌や悪性腫瘍

進行非小細胞肺癌における免疫療法に対する治療反応性予測のための深層学習モデル(Rakaee M, et al. JAMA Oncol. 2024.)

Deep Learning Model for Predicting Immunotherapy Response in Advanced Non-Small Cell Lung Cancer.引用文献この論文を勉強してみました。この論文は、「進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者において、深層学習アルゴリズムによる組織学的画像評価によって、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)への反応を直接予測できる...
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いろいろ解説

<その4>Cox比例ハザード解析やロジスティック解析における多変量解析: 多重共線性とはなんぞや

<その3>Cox比例ハザード解析やロジスティック解析における多変量解析では、組み入れることができる変数の数はどれくらい? の続きになります。見ていない方は、こちらへ。多重共線性の重要性多重共線性(Multicollinearity)とは、複数の独立変数が強い相関関係を持つ場合に発生する問題で、回帰分析のようなモデルにおいて以下の影響を及ぼします。独立変数の影響の正確な推定が難しくなる:回帰係数の分...
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<その3>Cox比例ハザード解析やロジスティック解析における多変量解析では、組み入れることができる変数の数はどれくらい?

<その2>Cox比例ハザード解析やロジスティック解析における多変量解析の変数選択はどのように行うべきか? の続きになります。見ていない方は、こちらへ。多変量解析に組み入れることのできる変数の種類はいくつまで?多変量解析において、モデルが過剰適合(overfitting)するのを避けるためには、サンプルサイズと変数数のバランスが重要です。10~20イベント/変数(EPV: Events Per Va...
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<その2>Cox比例ハザード解析やロジスティック解析における多変量解析の変数選択はどのように行うべきか?

<その1>Cox比例ハザード解析やロジスティック解析における多変量解析の変数選択はどのように行うべきか? の続きになります。見ていない方は、こちらへ。どうしても変数選択が必要な場合には何を使う?1. 事前知識に基づく変数選択(Clinical Knowledge-Driven Selection)概要医学的な事前知識や先行研究に基づいて、解析に含める変数を選択します。メリット科学的妥当性が高い。過...
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<その1>Cox比例ハザード解析やロジスティック解析における多変量解析の変数選択はどのように行うべきか?

Cox比例ハザード解析やロジスティック解析における多変量解析の変数選択は、研究の目的やデータ特性によって異なりますが、一般的な選択基準の妥当性が高い順に以下のように整理できます。1.事前に定義された研究目的や仮説に基づく選択(優先度:高)目的: 既存の知見や文献レビューから、研究目的に合致する重要な変数を明確にする。利点:研究の焦点を絞り込む。過剰なデータ操作による誤った結果を防ぐ。例:臨床的に重...
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Nested case–control studies(ネストした症例対照研究)

Nested case–control studies(ネストした症例対照研究)とは、疫学研究でよく用いられる手法であり、特徴的なアプローチを持っています。以下に手法を解説します。概要定義: 大規模なコホート研究内で、発生した症例(アウトカムを経験した人)と、アウトカムが発生しなかった対照を選び出し、詳細な解析を行う手法。特定のリスク要因(曝露)とアウトカムの関連性を効率的に調べる。特徴:研究対象...
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Self-Controlled Case Series(自己対照症例シリーズ)

self-controlled case series(自己対照症例シリーズ)とは、疫学研究でよく用いられる手法であり、特徴的なアプローチを持っています。以下に手法を解説します。概要定義: 研究対象者自身を「対照」として用いる手法であり、アウトカムが発生した期間(リスク期間)とアウトカムが発生しなかった期間を比較する。曝露(例: ワクチン接種)が特定の時間枠内でアウトカムに影響を与えるかを検証する...
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統計

逆確率重み付け法(Inverse Probability Treatment WeightingIPTW)と傾向スコアマッチング

IPTW(Inverse Probability Treatment Weighting)と通常の傾向スコアマッチング(Propensity Score Matching, PSM)は、いずれも傾向スコア(propensity score)を用いて交絡因子を調整し、観察研究で因果推論を行うための手法です。しかし、アプローチや特性、結果に至る過程にいくつかの重要な違いがあります。傾向スコアマッチング...
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論文紹介

吸入ステロイド薬の用量と有害事象の発生頻度の関連(Bloom CI, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2024.)

Association of Dose of Inhaled Corticosteroids and Frequency of Adverse Events.引用文献吸入ステロイド薬(ICS)は、呼吸器症状や肺機能の改善させ、喘息発作を予防し、死亡率を低下させるので、喘息治療ののキードラッグと言えます。ガイドラインでは、良好な喘息コントロールを達成するために、可能な限り最小の用量を処方することが推...
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感染症

ワクチン接種を受けた慢性肺疾患患者におけるデルタ株およびオミクロン株SARS-CoV-2転帰に関する全国規模のコホート研究(Wee LE, et al. Chest. 2024.)

A Nationwide Cohort Study of Delta and Omicron SARS-CoV-2 Outcomes in Vaccinated Individuals With Chronic Lung Disease引用文献COPD患者がCOVID-19への感受性が高くなることが報告されています。この背景には、気道上皮の免疫応答の変化やACE2受容体の発現増加が関連していると考...
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