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ゆるネタ

初診外来 17歳男性 咳、嗄声(声のかすれ)、胸部不快感

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初診外来

17歳男性。 咳、嗄声(声のかすれ)、胸部不快感。

指導医「ん~風邪か? B先生、ファーストタッチ頼んだぞ!」

研修医B「は、はいっ!」

—— 数分後 ——

研修医B「せ、先生っ!! 大変です! ”縦隔気腫”かもです!!」

指導医「は?咳と嗄声だろ?なんでまた…」

研修医B「なんかぁ..…おっきな咳でぇ…
突然こんな感じになったらしくてぇ…

のどや呼吸音に異常なくてぇ…
なんか変でぇ…

でぇ…心音がぁ…ザラザラっと聞こえてぇ…
首触ったらぁ…サクサクっとしててぇ…

あ、これが握雪感かぁ…… って、
国試の解説…思いだしてぇ…」

(そわそわ)

——そして胸部CT——

指導医「5感と6感、チート級かよ。」

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解説

縦隔気腫とは、左右の肺の間、胸腔中央部にある「縦隔」という空間に、本来存在しないはずの空気が漏れ込み、貯留した状態を指します(胸部CTの赤矢印)。

胸部レントゲンでは添付画像のように見え(緑や青の矢印)、青矢印のように気管や大動脈弓などのラインが妙に鮮明に見えるのも読影ポイントのひとつです。

誘因としては、激しい咳や嘔吐、強い発声やいきみ、激しい運動など、胸腔内圧が急激に上昇する行為が挙げられます。

主な症状は胸の痛みや違和感ですが、空気が喉頭・気管周囲に及ぶと、圧迫によって咳・嗄声・嚥下しにくさなどの症状が出現することがあります。 重症例では呼吸困難に至ることもあります。

また、食道・気管の穿孔や外傷に伴う縦隔気腫では、縦隔炎へ進行し得るため、特に注意が必要です。

B先生は、患者さんが大きく咳き込んだ直後に症状が出現していた点に着目し、違和感を覚えたのではないかと思われます。

身体所見としては、心拍動と同期してザラザラ・バリバリとした摩擦音が聴こえる「ハマン徴候」、頸部や前胸部の皮下に“雪を握ったときのサクサク感”として触知される「握雪感」がとても有名です。

今回の症状とこれらの所見から縦隔気腫を鑑別に挙げたB先生の判断は、非常に的確だったといえます。

尚、これらの所見は国家試験でも頻出であり、研修医として初めて遭遇すると「これが握雪感か!」と感動するポイントでもあります。

ちなみに皮下気腫は気胸でも見られますが、呼吸音に左右差がなかった点を踏まえ、縦隔気腫を鑑別の最上位に置いたB先生の診断力はお見事です。

本症例は若手医療者に向けて、「聴診や触診の重要性」や「典型例のイメージを持つことの大切さ」を共有する目的で構成しています。 エピソードは過去の実例を基に再構成しており、掲載している匿名画像は Radiopaedia より引用しています。

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